04.見えるもの ページ4
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今日は涼しいな。
ベランダに出た私は、眠い目をこすりながら、
お兄ちゃんに歩み寄っていく。
「お兄ちゃん、まだ見えないの？」
夜空をぼんやりと眺めていたお兄ちゃんは、私がきたことに驚いたのか
少したれ気味の瞳を大きく見開いた。
私の髪の毛から、ぽつりぽつりと水滴が垂れている。
「Aこないって言ったじゃん」
「気が変わったの！ねえ、今日は何が見れるの？」
お兄ちゃんは月も沈んで真っ暗な空をまた見上げて、
ぽつりぽつりと言葉を吐き出した。
「ペルセウス座流星群」
きっともう時刻は午前1時。
私は明日も朝練があるし、早寝早起きは大事っていうけど、
またこの目で流星群を見てみたい、そう思ってる自分がいた。
私はお兄ちゃんの隣に並んで、同じように空を見上げた。
「あとどれぐらい？」
お兄ちゃんの瞳は、星空のように輝いている。
どれだけ星が好きなのかな、
なんで星が好きなのかな。
「お兄ちゃん、なんで星が好きなの？」
「ん？うーん…」とお兄ちゃんは少し悩む素振りを見せたけど、
星空のようにキラキラ輝いている瞳でまっすぐ私を見つめて、話してくれた。
「いつか、なにか、見える気がするんだ」
その言葉は深くて、重くて、
やっぱりお兄ちゃんの言ってることはよくわかんないと思った。
お兄ちゃんは照れたように笑う。
「なーんてな！あともうちょいだろ！待ってて！ジュース持ってくる！」
知ってるよ、お兄ちゃん。
顔が真っ赤だってこと、私知ってるからね。
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