検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:29,117 hit

第陸話「何故」 ページ6

布団で座っていると足音が聞こえてきた。

反射的に芥川さんだと思い、扉が開くと同時にこう言った。


「今日は少し肌寒いです、ね…?」


そこにいたのは芥川さんではなく、太宰さんだった。


なんで貴方が今ここにくる……。


「おやおや、怖い顔だね?手を繋いで欲しいのなら何時でも繋いであげるよ?」

「止めてください、出てってください」

「酷いね。私は君を助けてあげたというのに」


助けた…?

助けたってなに?

あなたが助けたのは本当に私だけじゃないの。


しかも、助ける方法がこんな所に閉じ込めるなんて。


「こんなのは生き地獄だ」

「私と心中してくれるって云うなら、死なせても良いのだよ」

「誰があなたなんかと」


期待させておいて、裏切る。

あなたも結局私を捨てた親と同じだ。


「う…ぅぅ…ぅく"……」


泣いては駄目なのに涙が出てくるのは何故ですか?

何故貴方と居るとこんなにも、安心してしまうのですか?


「鳴いても助けは来ない、それは君が一番分かっているだろうに…」


分かったような口を聞かないでください。

見透かすようなその瞳が、今はもう大嫌いです。


「それじゃあ、私はもう出ていくよ」


そう言って牢を出ていく貴方に思わず口が開いた。


「雨音が響いていますね」


愛していました。

第染話「仲間」→←第伍話「閉じた記憶」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夢見る少女☆*:(プロフ) - ねこ娘さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。言葉の意味が分からないところがこの小説の醍醐味と言っても過言じゃありませんので (2017年4月7日 3時) (レス) id: cce1ac7323 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ娘(プロフ) - はじめまして!!めっさ感動しました!!キャラが掴みづらいやつがれくんの気持ち(?)の表現の仕方とかとてもお上手です。夏目漱石の言葉とかそういう直接は伝わらないような言葉わざわざ鈍感そうなは芥川くん使うところとか、なんかとても心がキュッてなりました… (2017年4月6日 22時) (レス) id: 913331cd44 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る少女☆*:(プロフ) - 白崎 ツキトさん» 感動してくれて嬉しいです!貴方の心の中にいつまでも残っていれば幸いです (2017年3月25日 16時) (レス) id: cce1ac7323 (このIDを非表示/違反報告)
白崎 ツキト(プロフ) - やばい、すごい感動した。この作品に出会えて良かったです…!!! (2017年1月29日 19時) (レス) id: b835084626 (このIDを非表示/違反報告)
青りんご@しらすの人( 。∀ ° )(プロフ) - 莱都さん» あの、コメ欄のチャット行為は禁止されているのでそろそろ… (2016年9月24日 2時) (レス) id: 77bd0378ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:13(ひみ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5066ad29441/  
作成日時:2016年8月14日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。