落ちた鬼灯。【OP】 (ページ4)

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タンッと靴を鳴らし、ヤガラブルから降りる少女。1と書かれた大きな扉の向こうに、カクがいると思うと、Aは胸が弾んだ。

「あ、おーいAちゃーん！気をつけるんだぞ〜！」
「そうそう、また倒れちゃったら心配だからねえ！」

「あ…ありがうございます。」

Aがにこやかにそう答えると、相変わらず可愛らしい子だと、町ゆく人々はそう言った。
Aという少女は有名だ。元々体の弱いこともあって、それの関連で街に大きく知られることがあったからだ。それは、1年前も一緒で。

「おう、A！おはよう！」

「あ、パウリーさん。おはようございます。」

後ろから話しかけられたAは、くるりと後ろを振り返ると。
＿＿多分借金取りにでも追われたのだろう。少しすす汚れた服は、靴の跡が沢山残っている。
正直人のギャンブルだの生活だのに口出しする意味もないので、Aは何も言わず微笑んでいた。

「お仕事頑張ってください、パウリーさん。」

「そうだ、聞いてくれよ、あのコミュ障の奴ったらひでェんだぜ？金取りに追いかけ回された挙句なんであいつに殴られなきゃいけねェんだ…。」

たんこぶはないその頭をパウリーは撫でる。そんなことを言っていたらすぐに来てしまうだろうと思っていたら、＿＿ガチンと、音がした。

『Aに迷惑かけてねェで、さっさと仕事しろ、ポッポー！』

「うっせェ！俺ァただお話してただけだろうが！なぁ！」

あはは、と苦笑いを浮かべるA。耳を引っ張られながら、コンチクショーとパウリーはルッチと共に、中へと入って行ってしまった。Aはその後ろ姿を眺めながら、ふとあっと思い出したことがあった。手元に忘れ物。

「みなさんで分けて欲しかったのだけれど…、カクさん、どこだろう。」

低い柵の近くを歩いては、Aは中の様子を見た。相変わらず、大きな丸太を易々と運んでいる大工が目に付いたり、大きな鋸を持った人が沢山いる。私とは程遠い世界だなあと、Aは寂しそうに心の中でぽつりと言葉を零した。

「おーい、A！」

「あっ、え？カクさん？」

屋根を飛び移り、Aの前へと着地した、長っ鼻の男、カク。山風と言われるだけあって、高いところもへっちゃらなのである。おはようさん、と笑ったカクに、Aもおはようございますと返答した。