落ちた鬼灯。【OP】 (ページ5)

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カクの話によると、見学の件は即OKだった。元々Aを市長として目にかけていたため、色々見せてやれと言われたとのこと。

「じゃが、こういう場所はいかなる時でも怪我に繋がることが多い。わしの近くから離れんようにな。」

「は、はい！」

自身より遥かに高い背を、Aは見上げる。カクは時折後ろを確認するように見ては、前へと進む。
ここらが安全じゃとカクが指をさしたのは、大工達が休憩する場であった。今も何人かが大きな丸太に乗り、ボトルの中のものを喉へと流し込んでいる。

＿＿ああ、今日は日差しが暑いから。喉が渇くようなクッキーは良くなかっただろうか。

ふとAがそう思っていると、カクがAの方へくるりと向いた。手に持った袋の中身が気になるようで、なんじゃなんじゃと見ようとする。おずおずとAが差し出すと、みんなで食べるわいと喜んで走って行った。

「あ、その、皆さんのモチベーションに繋がればと思ったのですが…、クッキーですから、喉が渇いてしまったりするので、その…。」

Aが言い淀んでいると、嬉しいぞとカクはそう口にした。

『こんな物滅多に貰えることないからな、ポッポー！』

「ルッチの言う通りだ。手作りだろう？上手に出来ている。」

「あ、えへへ、そう言って貰えると嬉しいです…。」

彼らもまた、Aを好いていた。友人としても、また、違う感情がそこにあるのかもしれないが。
守ってあげなければという庇護欲に駆られる少女を、見放してはおけなかった。

「ギャハハハハ！にしても大工さんよぉ、船を直すにしてはちと料金が高すぎねェか？！」

下品な笑い声が、そう響く。黙々と木材に印をつけ、そこへ鋸を入れる大工の男の背には、たくさんの暴言が浴びせられ。Aは量の手を握っていた。

「…見んほうがええぞ。大丈夫、あれはわしらで解決するでのう。
Aは近くで待っとれ。」

優しくポンと、カクはAの頭に手を置く。
この場において、この町に、島において、大工を馬鹿にすることは、決してしてはならない。

＿＿それを、この海賊らは分かっていないようだ。