264話 ネックレス ページ41
A「じゃ、ありがとな。いろいろと。」
灰崎「おう。」
その日、俺は祥吾の家から自分の物を全部取って家に戻った。
久しぶりに一人きりだからさすがに寂しい。
部屋に入ると修と取ったバッシュが目に入った。
それを持って捨てようとゴミ箱の前に立つ。
もう、バスケはやらない…。
俺がバスケをすることによって傷つく人が多すぎた。
いなくなる人も多すぎた…。
それに、俺ももう傷つきたくない。
なのに…そのはずなのに…。
なんでだろう？
バッシュをゴミ箱に捨てようとしても手を離せない。
急に涙が出てきて手も震える。
A「修のバカ…。お前がいなければこんなバッシュ1つ、すぐに捨てれただろうに。お前との思い出が詰まってて…お前との思い出ごと捨てちゃうみたいで…。変なもの残すなよ。」
ギュッとバッシュを抱え込んだ。
ついこの間まで強くならなきゃと思って泣くの堪えてたのにバスケ部が変わって修がいなくなった瞬間その決意は砕けた。
ほんと、知らない間に修がいることが当たり前になってたんだな…
喧嘩別れなんて一番したくなかった。
A「会いたい。ごめんって、好きだって言いたい。」
ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ
その時、チャイムが鳴った。
来たのは一つの宅急便。
それはあいつからのプレゼントのネックレスだった。
銀色のパズルのピースのやつだ。
多分、修とお揃いなんだろうな…
ネックレスと一緒に入ってたのは1通の手紙。
『引退おめでとう。2年半、お疲れ様。ずっと俺の隣にいてくれてありがとう。でも悪い。もうお前の横にはいられない。親の病気を治すためにアメリカに行く。約束したのにごめんな。それに、バスケもやめることになる。またいつかお前と同じコートに立ちたかったけど…。本当に悪い。アメリカ行くまでにたくさん思い出作ろうな！』
引退式の日に渡そうとしたんだろうな。
もっと会えばよかった。
忙しいのを理由にしないで話せばよかった。
A「思い出なんて一個も作れなかったじゃねぇか。アホ。修もバスケやめるのか…。"最強の新星"もここで終わりだな。」
ネックレスを首につけてそれを軽く触る。
いつか、また必ず会う。
それまでこれをつけてよう。
A「はぁ……。好きだよ、修。」
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作者名：雪 | 作成日時：2019年2月27日 22時
