252話 3連覇 ページ29
監督は大輝に必ずフェイクを3回は入れて抜くように言った。
さつきが休憩中に双子について調べてくれて、2人は小6まで合気道をやっていて呼吸を合わせることに長けている。
けど、逆を言えば彼らはバスケは中学生から始めたばかりの中級者。
フェイクを織り交ぜ、相手のタイミングを見出すことが生業のバスケ今の中学バスケで右に出るものはいない。
A「さすがだよ、さつき。」
桃井「ありがとうございます!」
コートの中では征十郎が指示を出し、テツヤと大輝の連携を中心に逆襲が始まっていた。
大輝も今になっては珍しくなった笑顔を見せている。
今までの綺麗な笑顔じゃなくて不敵な笑みだけど…。
データ収集もさつきの方が俺の何倍もすごい。
A「もう俺はここにはいらねぇな。」
黄瀬「なんでそんな悲しいこと言うんスか?」
A「ゲッ…聞こえてたのか?」
黄瀬「まぁそれなりに。ねぇ、先輩。俺、ここでやるバスケが大好きなんス。雰囲気とかチームメイトとかすげぇ好きで…。こんなところに巡り会えるなんて数ヶ月前の俺は思ってなかった。俺だけじゃない。みんな、何かしらAさんに助けられてる。Aさんがいなかったら今の俺たちはここにいない。だから、もういらないなんて悲しいこと言わないで。」
コートの方を真っ直ぐ見ながら、涼太は言葉を紡いでいった。
たどたどしくてぎごちないけど俺の心を温めるには十分だ。
A「ありがと、涼太。」
虹村「今の帝光はお前が作り上げたと言っても過言ではない。その集大成なんだから口開いてないで見守れ。」
黄瀬「なんで虹村さんはそういう言い方しかできないんスか!もう…。素直になればいいのに。」
虹村「あ"?うっせぇな。」
第4Qに入り、涼太と大輝が交代した。
双子はやっと大輝のペースを掴み始めた頃だったからちょうどいいっちゃちょうどいい。
A「お疲れ。」
青峰「うっす。」
A「楽しそうだったな。」
青峰「まだ捨てたもんじゃねぇなって思った。」
A「ならよかった。」
俺は笑みを浮かべて大輝の頭をグシャグシャと撫でる。
それが少し恥ずかしかったみたいで顔を赤らめて下を見る大輝をちょっとかわいいと思っている自分がいる。
そして、そのまま試合終了を知らせる笛が鳴った。
前人未到の全中3連覇を果たしたのだ…。
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作者名:雪 | 作成日時:2019年2月27日 22時