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249話 暴力的な力 ページ26

迎えた翌日、全中最終日。

準決勝で51得点を決めた大輝を筆頭に相手は"キセキの世代"を抜くことなんてできなくて圧勝。

全国大会の2回戦というより、大人と子供の試合を見ているようだった…。


A「勝者である限り俺たちは前を向き、強くなきゃいけない。ただ、この惨状には同情していいよな?」

虹村「さすがにこれは相手もメンタルくるだろ。」


俺たちはギュッと拳を握りしめてスコアボードから目を背けた。

あいつらは強い。

けどその強さは暴力的だ。

敵もボーッとコートの中で立ち尽くしている。

今まで死ぬほど練習してきて、誰よりも努力して何度も試合を繰り返してここまで登りつめてきたんだから当たり前だろうな。

勝者が敗者にかける言葉なんてない。

でもさすがに残酷すぎる。


赤司「Aさん。戻りましょう。」

A「あぁ。」


荷物をまとめ終わった部員の後ろに着き、コートを去る前に相手チームを見て一礼する。


A「ありがとうございました。」


相手のキャプテンが涙しているのが見える。

勝ったのになんか嬉しくない。

複雑だな…


虹村「副主将がそんな顔しててどうする。全中決勝まで来たんだぞ。もっと胸を張れ。」

A「そんなに酷い顔してたか?」

虹村「負けたいって言ってるようにしか見えねぇよ。」


負けたい、か。

確かにそうかもしれない。

大好きだった帝光がヒールになってるのがわかる。

バスケ会場で他のチームとすれ違うたびにヒソヒソと噂話をされる。

少し前までは賞賛や憧れの言葉だったのに、今となっては妬みや皮肉がほとんどだ。


虹村「あとお前相変わらず自分で何とかしようとしすぎ。俺にもっと頼れって言ってきたくせになんでお前は頼ってこねぇんだよ。青峰と境遇が似てるとかそんなこと知らねぇけど他の奴らのフォローぐらい俺にもできるから。」

A「ちょっと待て。なんで俺と大輝の境遇が似てることとかみんなのフォローしてることとか知ってんだよ!」

虹村「気になるだろうが。お前がチョロチョロしてんの見ると。またぶっ倒れたりすんじゃねぇかって。」

A「そんな心配いらねぇよ!」

虹村「あーはいはい。」


ヒラヒラと手を振って列に遅れないように少し早く歩き出した修を追いかける。

一つ言ってないことあったから。


A「修、優勝したら俺と付き合ってくれ。」

虹村「仰せのままに。」

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作者名: | 作成日時:2019年2月27日 22時

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