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248話 幻の6人目 ページ25

-黒子side-

みんな…いえ、青峰くんはここにはいなかったけど、2年生のみんなでお風呂に入った後、さっきご飯を食べた時にタオルを忘れていたのを思い出して食堂に行くと電気が付いていて、2人の女の人の声が聞こえてきました。

見なくてもAさんと桃井さんの声だってことは分かる。

何を言ってるかはうまく聞き取れないけど、桃井さんが泣いてるみたいです…。

きっと、今日の青峰くんを見たからですよね?

僕もあれはショックでした。

次の試合に引っ張っちゃうぐらい…

第2試合、途中で交代になった時にベンチに戻った僕を見つめるAさんの顔は少し怖くて自分が情けなくなったのを思い出します。

謝りたい…



A「あ、さつき。悪いけど先残っててくれ。俺食堂のおばさんと話しなきゃなの忘れてたわ。」

桃井「分かりました!それじゃ、部屋で待ってますね。」

A「あぁ。」


急に2人が食堂から出てきたかと思うと僕のことを一瞬で見つけたAさんが僕の腕を掴み、どこにも行かせないようにした後不気味なぐらい綺麗な笑顔を浮かべて桃井さんを先に返しました。

Aさんと会うのが少し気まずくて逃げようとしたところだったからびっくりして体が硬直していることろを無理やり引かれて一瞬目を瞑ると次に見えたのは僕の間近にあるAさんの顔。


黒子「人生初の壁ドンってやつをまさかAさんにされるとは思ってなかったのでちょっとびっくりしてます…」

A「てめぇが逃げようとしたからな?こうでもしねぇとどうせ影薄めて消えんだろ?」

黒子「でも結局すぐに見つけ出してくれますよね。僕たちが初めて会った日のように。」

A「何当たり前なこと言ってんだよ。」


相変わらず、まっすぐで本当にかっこいいです。

男の僕が尊敬しちゃうぐらいに。


A「テツヤに言いたいことがあんだ。初めてお前が試合に出た時、征十郎に闘志は必要だけど感情は抑えろって言われたの覚えてるか?」


逃げる意思がないのが分かったのか、体を離したAさんに向かってコクリと頷いて会話が進む。


A「闘志だけじゃなくて不安、焦り、心配。試合中は全部を抑えろ。幻の6人目(シックスマン)を演じきれ。いいな?」

黒子「…!はい。」


怒られるかと思ったらその逆。

いつだって僕たちを正しい道に導いてくれる。

あなたがいて、本当によかった。

安心して引退させるためにも頑張らなきゃですね。

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作者名: | 作成日時:2019年2月27日 22時

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