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246話 嗚咽 ページ23

-青峰side-

控え室に戻ってすぐ、俺が来たのは会場の外。

ベンチに腰掛けてボーッと空を見上げた。

俺はあそこにはいれない…


A「やっと見つけた…。大丈夫か?大輝。」

青峰「Aさん?」


膝に手をついて息を整えていて、少し汗もかいている。

顔は本気で俺のことを心配してくれているみたいで眉間にシワがよっていて、それを見て心が暖かくなった気がした。


青峰「Aさん…。悪りぃ。ちょっとだけ…許してくれ。」


限界を迎えた。

試合中から抑えていたものが一気にこみ上げてきた。

俺より華奢で小さくて折れちゃいそうな体をギュッと力任せに抱きしめると俺の頭を優しく撫でてくれる。


A「よく一試合やり抜いた。俺との約束守ってくれたな。」

青峰「グズッ…あぁ。」


言葉を発することが難しいぐらい嗚咽をあげて力を強める。

こんなに人の前で泣いたのなんて初めてかもしれない。


青峰「先輩…。先輩…。苦しい。こんな感情知りたくなかった…。」

A「大丈夫だ。落ち着いて。息、吸えるか?」


背中をさすり、俺の呼吸を落ち着けさせると抱きついている状態から離れて普通に向かい合った。

Aさんの目も少し赤い。

肩には多分俺がつけた涙の跡が残っている。


A「なんかお前のこと見てたら俺も苦しくなって。第2試合始まるけどできるか?」

青峰「あぁ。まぁ、なんとか。」

A「きつかったらいつでも選手交代させるからすぐに俺に言ってくれ。いいな?」

青峰「おいおい、茶化すなよ。交代なんてさせねぇよ。コートにい続けていい限り。」


少し落ち着いてきた。

俺はこんな状態でもバスケを続けたい。

それだけははっきりしてる。

練習を続けたらその分強くなるし嫌だけど試合には出ていたい。


A「お前ならそう言うと思った。そんじゃ、そろそろ戻るぞ。」

青峰「あぁ。」


前を歩く背中はやけに大きく見えてかっこいい。

俺に向けた笑顔も輝いていて、言ってないんだけど「信じろ」と言われたような気がする。

とりあえずは優勝してこいつらを引退させねぇと。

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作者名: | 作成日時:2019年2月27日 22時

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