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244話 負けるな ページ21

-青峰side-

Aさんと話した次の日。

全中本戦の1回戦、対上崎中。

あいつの言う通りだった。

井上はもう俺の敵じゃない。

戦意を失った相手はボールを追うことをやめ、俺と戦うことを諦めた。

ボーッと立ち尽くす。

一気に熱が冷めて、こんなんじゃ…バスケの何が楽しいかなんてわかんねぇ。


黒子「青峰くん、ナイスです。」


テツが近づいてきて拳を俺の方に向ける。

いつもなら俺はそれに応えてた。

けど、もう…。


青峰「お前の言ってることも間違ってねぇ。けど、俺の欲しいものは見つからない。」


拳を合わせないで無視したまま俺は走り出した。

テツが後ろで小さく声をあげているのが聞こえる。

赤司と緑間と虹村さんは分かっていたような顔を浮かべる。

黄瀬と紫原とさつきは驚いてる。

虚しくて、涙がこぼれそうになる。

早く…早く終われ!!

40分が死ぬほど長い。

つまらない。

辛い。

嫌だ…。

目の前が真っ暗になっていく。

息が苦しくて、足が重くて動かない。

もう、嫌だ…。


A「大輝!!!」


その時だった。

綺麗な声が靄を晴らすかのように俺の耳に届いた。

何度も聞いたあの人の声。

ベンチの方を見ると小指を立て、俺を真剣に見つめるAさんの水色の瞳と目が合った。

昨日交わした約束を思い出す。

バスケを嫌いならないでと伝えたあいつの顔を…


A「青峰大輝!負けんな!」

桃井「Aさん…?」


この状態で負けんななんて言ったらお前までイヤミとか言われんぞ。

けど、ちょっと救われた。

Aさんが昔感じた感情。

知りたくなんかなかったけど、支えてくれる人がいなかったあんたより俺の方がずっとマシだ。

現状は変わらない。

敵は絶望したまま。

俺はつまらないまま。

テツは苦しいまま。

それでも一筋の弱い小さな光がまだ射している。

俺たちが信じて追い続けているもの。

もしかしたら一生目の前には現れないかもしれない。

でも、それでも…

「お前が必要じゃなくなるまでお前にとっての最強でいたい」と言ったAさんを信じてバスケを好きでい続ける。

前を向き続ける。

ライバルだなんて存在しないもん求めてねぇけど。

Aさんが俺と1on1をしてくれる日まで。


青峰「俺に勝てるのは、俺だけだ。」

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作者名: | 作成日時:2019年2月27日 22時

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