234話 地雷 ページ11
黄瀬「ならなんで別れたりなんかしたんスか？」
A「教えねぇよ。つか、明日も朝早いんだからそろそろ戻るぞ。」
黄瀬「えぇ〜。教えてほしいっス！」
A「嫌だ。」
風呂でさつきと話をして、さつきには何回もそれはおかしい。と言われた。
俺が修のことを好きだという気持ちは変わってない。
でも優勝するために距離を置きたい。
それだけなのに…
黄瀬「そんなに思いつめた顔するなら無理に聞かないっスよ。戻れますか？」
A「あぁ、ありがと。」
差し出された手を借りて立ち上がっても涼太は一向に手を離そうとはしない。
不審に思ってジッと見つめてみても、綺麗に整った顔でニコニコ俺の方を見つめてきてる。
A「離してくんね？」
黄瀬「嫌っスよ！」
A「なんでだよ…。いいから離せ！」
黄瀬「だって好きな人と2人きりっスよ！？嫌っス。絶対離さないっス！」
A「お前は祥吾か！」
黄瀬「ショーゴくんも同じことして来たんスか？」
A「このレベルならまだマシだよ。」
黄瀬「へぇ〜？」
この言葉が地雷になったのかは分からない。
いや、多分そうだよな？
涼太の目の色が変わって男の目をしてる。
何度も見て来たやつ。
黄瀬「せーんぱい？」
A「近づくな、アホ。」
黄瀬「そんなに警戒しないでほしいっス！」
A「壁に押しやられて警戒すんなだと？バカだろ。」
黄瀬「俺本気であんたのこと好きなんスけど。」
A「待て…近い。」
涼太の右手が俺の頭に乗り、肘は顔の真横。
両脚の間に足を挟まれて動くに動けない…
いよいよやべぇな。
黄瀬「ショーゴくんとどこまでいったんスか？」
A「何もしてねぇよ！つか修がいるからやめろって…」
黄瀬「でも別れてるじゃないっスか。」
A「そりゃそうだけど…」
黄瀬「目瞑って？」
空いていた手を目元に持って来て、目の前が真っ暗になる。
誰か助けてくれ…。
黄瀬「なーんて！これで無理矢理キスしても意味ないからしないっスよ！」
A「…は？」
手を退かされ、眩しさの中笑顔の涼太が目に入り、そのままギュッと抱きしめられた。
黄瀬「ちゃんと好きになってもらいたいんス。」
A「そうかよ。」
黄瀬「ドキドキしたっスか？」
A「いろんな意味でな。」
更衣室を出て部屋に向かうと慌てた様子でさつきがこっちに来た。
3人で部屋に戻ると、夜が更けていった。
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作者名：雪 | 作成日時：2019年2月27日 22時
