夏祭り�� ページ5
貴「……とかカッコつけた割に魔法で行くのかよ」
ま「いや冷静に考えてそうでしょ。自分が来た時のこと忘れた？」
貴「どっかの誰かさんに即効性の麻酔打たれて拉致られました」
白髪がきまり悪そうにそっぽを向く。少しは気にしているのだろうか
そんな白髪に黒髪さんが近づいていく。黒い笑顔なのが怖い
そ「眠らせて捕まえるとは聞いてたけど、あれそこそこ強い薬じゃなかったっけ。よく使ったね〜」
ま「うぅ……だって女性の声って甲高いじゃないですか。叫ばれて誰か来たらまずいなと思って」
そ「じゃあ人払いの魔法でも使えば良かったんじゃない？」
ま「使いましたよ！でも、その、念の為……」
そ「お前最初はAに対してキツかったもんね〜、あわよくば目を覚まさない状態にとか思ってたんじゃないの」
ま「……」
小声だったため内容は聞き取れなかったが、なぜか白髪が撃沈している。黒髪さんから黒いオーラを感じるのは気のせいだろうか
まぁ気にする私じゃないけどね
貴「こらそこ、いじめるなよ！今から祭りだぞ！」
とりあえず白髪にちょっかいかけに行ったらアメを貰った。意図が意味不明だけど美味しいからまぁいいや
黒髪さんは呆れたような苦笑を浮かべていた。事情を聞いてみようと思ったけど、今からワープだと言われて目を閉じる
この世界からようやく人間界へ帰れる。そのことがいつも以上に私をワクワクさせていた
ま「はい、目閉じて。行きますよ」
まだ少し元気の無い声で白髪が詠唱していく。目を閉じると、左手ががっしりとした手に掴まれた
少々遅れて右手も掴まれた。少し汗をかいているのは気のせいかな。誰かすぐにわかる
これくらいで怖いと思う私じゃないけど、二人の気遣いが暖かくて少し笑ってしまった
その途端地面が離れていくような感覚に襲われ、私は静かに意識を手放した
＊＊＊
そ「……と弱いね、人間って。これくらいで気失っちゃうんだ」
ま「契約者なのにまだ慣れてないんですかね。ボクの魔力そろそろ増やした方がいいかな」
そ「案外嫌がられてたりしてな。俺は少しずつ貰ってるけど」
ま「なっ！？い、いつ……？」
そ「内緒。……起きた？」
男性とは思えないようなソプラノと、低めのアルトが寝ぼけた頭に響く。ゆっくり目を開けると、人ではありえないような色彩の、見慣れた彼らが映った
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作者名：笹乃葉 | 作成日時：2022年8月25日 9時
