5-9 side:K ページ38
5-9 side:K
扉が開く音と怒声が密閉されていた部屋に響き渡る。俺が助けを求めていた人物とは違うけれど、声を聞いた瞬間に分かった。その声の持ち主が現れたことは俺とって救いになるのか、それとも――
「・・・玉・・・」
俺とほぼ同時に玉がこの場所にたどり着いたことを把握したらしい二階堂は俺からサッと身を離し、扉の方を見つめているようだった。その隙にソファーの上を這うようにして俺は奥の方に逃げる。ズボンが中途半端に脱がされていたがお構いなしだった。端っこまでたどり着き、俺は身を起こして座り直す。玉は無表情ながらも、瞳の奥に怒りなのか戸惑いなのか、感情の炎を宿しているように鋭い視線をこちらに送り続けている。
「げっ、玉・・・!」
「た、玉、思ったより早かったね」
扉に立ち尽くしている玉に慌てたように宮田が駆け寄っていく。玉の手が宮田の胸倉を掴む。
「宮田、どういうこと」
なんでミツを苛めてるの、と玉の低い声が響く。玉に睨まれて、宮田は酷く動揺しているようだった。
「た、玉、本当にゴメン!ちょっといろいろあって・・・」
「・・・大切なミツだからお前に託したのに」
そう言って玉は突き放すようにして宮田の服から手を離した。
「・・・っ、玉・・・」
本当にゴメン、ともう一度謝罪の言葉を告げ、宮田は泣きそうな顔で俯いたようだった。玉が宮田のポンと肩を叩き、こちらに視線を送る。
「というか千賀さんもニカも何してるの」
どうしてここに?と玉が美しい顔を歪ませながらさらにこちらに歩み寄ってくる。二階堂はたいそうばつの悪い顔をして唇を噛み締めているようだった。何度か玉と二階堂の顔を見比べた千賀が玉に駆け寄っていく。
「いや、その、玉を待ってて・・・」
最近全然会えなかったから、と小首をかしげて笑顔を取り繕う千賀に玉は大きなため息を吐いたようだった。
「ニカとやりながら俺を待ってたの?」
千賀の衣服のわずかな乱れから勘づいたのだろうか――千賀の瞳に涙が溜まっていくのを感じた。
「だって・・・だって玉、最近全然構ってくれないじゃん!」
「・・・千賀さんにはニカがいるでしょ。とりあえずこの部屋は基本的に出入り禁止だから今度から勝手に入らないで」
今日だけは大目に見てあげるから、と柔らかい口調ながらも有無を言わせない声色に千賀の顔が青ざめていくのを感じた。玉がさらにこちらに近づいてくる。二階堂も観念したように玉に歩み寄った。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時