5-7 side:K ページ36
5-7 side:K
「特別なことは何もしてない・・・」
「嘘！？食べ物とかなのかな〜俺なんか化粧水11種類くらい使い分けてんのに」
むしろ肉ばっかり食べて――最近はパンばかりだったし栄養は偏ってそうだ。というか11本も使い分けなんてできるのだろうか。最終的に訳が分からない感じになってそう、と俺はため息をついた。
「いや、よく分かんないけど、多すぎるだろ、それ・・・」
「ねぇ、ニカ！ニカも触ってみてよ！」
どれどれ、と俺に近づいてきた“ニカ”が俺の頬をそっと両手で挟み込む。確かに、と少しだけ力を入れて頬を揉み始める。無遠慮に触られて、俺はもの凄く嫌だったけれど、千賀が俺の肩を抑えていて逃げられない。唇を尖らせて、必死に顔を背けることで精一杯の抵抗をして見せる。人をまるでぬいぐるみか何かみたいに――
「・・・玉が見初めただけあるね」
「え、この天使ちゃんのこと？妬くわー！ニカ―！」
「なんかさー、この強気な表情見てるとさ」
ちょっと苛めてみたくならない？と“ニカ”は不意に俺のシャツをズボンからたくし上げてくる。さらに捲りあげられて、俺は思わず悲鳴を上げてしまう。
「・・・やっ・・・！！」
「顔だけじゃなくて肌も綺麗じゃん」
本当だ、と千賀が食い入るように俺の胸板に顔を寄せてきて――素肌を見られていることがたまらなく恥ずかしい。不意に千賀の指が、吐息と共に俺の胸板に触れる。
「やめてくれ・・・！」
「何でこんなにスベスベしてるの・・・！？背中とかも見てみたいかも」
「じゃあ脱がせてみるか」
すると、二階堂が俺のシャツのボタンを一つずつ外し始めたので、俺は思わず宮田に助けを求めてしまう。
「た、助けて、宮田！」
その声に気がついたらしい宮田が慌てて俺達の元へ駆け寄ってきてくれる。
「おい、二階堂！やめろ、キタミツは玉の・・・！」
「だってさ、もう玉とはやってるんでしょ？ちょっと触っても分かんないじゃん」
“ニカ”もとい二階堂のデリカシーのない発言に俺は思わず顔を真っ赤にしてしまった。ちょっととかそういう問題じゃない。込みあがってくる怒りなのか悲しみなのか分からない感情に視界が滲む。みんなにとっては当たり前なのかもしれないけれど――俺にとっては触れられたりすることはそんなに普通のことじゃない。昨日だって散々怖い思いをしたっていうのに――
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年5月7日 0時
