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2-8 side:K ページ12

2-8 side:K

「おいし?」
「うん!こりゃうまいよ!」
 良かったね、ともぐもぐする俺を、隣に座った玉が表情を緩ませて俺を見つめているようだった。
「北山・・・お寿司は逃げないと思うけど」
「いや、何か美味しすぎて、手が止まらないんだわ」
 小さく微笑む藤ヶ谷の唇を見つめていると、さっき触れ合ったことを思い出して身体全体が熱くなる。そう、本当はお寿司の味なんかよく分かっていないのかもしれない。噛み締める度に口の中に広がっていたのは――藤ヶ谷との甘やかなキスの味に違いない。無意識に何度も唇を舐めてしまう。
「なんかミツってリスみたいだね、可愛い」
「もぐ?(そう?)」
「お茶もどーぞ」
 ありがと、と俺は玉に差し出されたお茶をゴクゴクと一気に飲み干す。しばらく食パンをそのまま齧ったりする生活だったからひもじくて、久しぶりにお腹いっぱいに食べたと胃袋の充足感を感じる。俺はお腹を擦りながら幸せに溢れた満面の笑みを浮かべた。
「ガヤも食べてる?」
「ああ、気遣いありがとう・・・まぁほぼほぼ北山が食べちゃったからな」
 それは言えてる、と玉は苦笑いを漏らす。藤ヶ谷も少し困ったように口元に笑みを浮かべているようだった。
「美味しかったー!本当にありがとう、玉!」
 意図あってこうして一緒にいるとはいえ、玉と俺は初対面なのにこんなにもてなしてもらって少し罪悪感を感じてしまう。本当にかっこよくて優しい――本当に玉は“悪い人”と繋がりがあるのかな、と俺は少し切なげに玉を見つめた。
「・・・どうしたの、ミツ?」
「あ、いや・・・」
「さっきのクラブでも俺のこと見ててくれたじゃん」
 そのことに俺が気づいた理由って分かる?と玉が少しだけ俺との距離を詰めてくる。
「俺もミツのこと見てたからだよ」
 バーカウンターに向かうミツを一目で見た瞬間から心は奪われていた――そう言いながらそっと俺の頬に口づけてくる玉。不意打ちに驚き仰け反ろうとしたはずなのに、先ほどの藤ヶ谷の言葉を思い出して身体が硬直してしまった。俺は一瞬顔を上げて藤ヶ谷に縋りそうになり――俯きながらそのキスを受け入れてしまう。ここで藤ヶ谷に助けを求めても、きっと“が・ま・ん”という合図が送られるに違いない。顔を覗き込まれて俺は困ったように少しだけ口角をあげて微笑んで見せる。
「ミツ・・・今度はミツから俺にキスしてよ」
「えっ・・・」
「だってそのつもりでここまで来たんでしょ」

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設定タグ:藤北 , 玉北 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:タレント
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時

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