5-14 side:K ページ43
5-14 side:K
「や・・・んっ」
チュッ、チュッ、と何度も角度を変えられて、俺は成すすべなく藤ヶ谷とは違う唇に翻弄されてしまっている。不思議と自分も玉の背中に腕を回し、その唇を受け止めてしまっていた。
「ミツ・・・もっと奥までいい?」
「・・・玉っ・・・んー、あ・・・んぅ」
玉の舌先が俺の唇をノックし、息苦しさに開いた扉の中へ侵入してくる。クチャ、クチャ、とリップ音が水音を交えたものに変わり、自然と顔が紅潮していく。昨晩に俺を組み敷いて見つめていた瞳とは違う――慈愛に満ちているかのような玉の優しい眼差しに、心を奪われている自分を感じてしまう。昨日初めて出会った俺をどうしてこんなに――伝わってくる柔らかい感触から玉が俺を想ってくれている感情がたくさん流れ込んでくるかのようだった。それが、結ばれたという俺の嘘を信じてくれているからだとしたら、俺はとんでもない罪人になった気がしてしまう。口づけが深くなればなるほど、罪悪感も俺の心に深く刻み込まれていく。
「はぁっ、はっ・・・可愛いよ、ミツ・・・!」
「んっ、玉っ・・・玉ぁ・・・!」
気がつけばどんどん迫りくる玉と共にベッドに倒れこんでいた。玉の指先が俺の胸板を擦り始め、自分がほとんど裸に近い状態であったことを思い出す。キスを止めることはなく、玉は俺の胸板の先端を摘まむ。
「・・・ミツ・・・!!」
「お、お願い、待って、玉・・・!!」
俺は玉の背中に回していた手を解き、俺は思わず玉の肩を押して突っぱねてしまった。玉の瞳の色が陰り脅えてしまうが――
「あの、その・・・俺、身体が・・・その」
「そうだよね・・・ごめん、ミツがあまりに可愛いから、俺・・・」
昨日初めてだったんだもんね、という玉の言葉に俺はコクコクと頷いてしまう。玉がそっと俺の頭を撫で、額に唇をそっと寄せられる。
「それに・・・ミツは焦らすのが好きなんだもんね」
苦笑いの玉の表情に、俺はただ黙って見つめ返すことしかできない。
「でも、ミツになら焦らされてもいいかな・・・そのくらい好きだよ」
「玉・・・」
また嘘を吐いてごめん、玉――本当はこの先に進んだ時にどうしたらいいのか分からないだけ。無知の誤魔化しを純粋さと受け止めてもらって、挙句に“好き”とか“愛してる”とか最大限の愛情を向けられているのに、俺は脳内に別の人物を浮かべてしまっている。
――まだ、この先のことは教えてもらってないんだ・・・藤ヶ谷に。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時