5-13 side:K ページ42
5-13 side:K
無言のまま俺の頬に指をそっと走らせ、涙を掬う玉はただ黙って俺を見つめている。瞳がうるんでいて良かったのかもしれない。嘘を吐いてしまった後ろめたさから、その眼差しを真っ直ぐ見つめられそうにない。すると、玉が突然俺の身体をうつ伏せにひっくり返す。いろいろ観念した俺は固く目を瞑るとまた新しい涙が瞳の端から零れた。
「・・・えっ・・・」
「ごめん、ミツ・・・俺、夢中になり過ぎて・・・意識飛ばしたのかな」
すると、玉が俺を後ろ手に結んでいた縄を解いてくれているようだった。シュルッという音がして、玉はその縄を投げてベッドから落としたようだった。恐る恐る俺は自由になった手を動かし、自分の顔の横にそっと置いた。腕は解放されたけれど、とても逃げられる気はしなかった。
「痛かった?ごめんね、ミツ・・・」
背中がじんわりと熱くなっていく――玉が俺に覆いかぶさったからだ。拘束の赤い痕を残している俺の腕をそっと取り、その場所に玉が唇を寄せる。そして、腕をなぞる様に厚みのある柔らかな感触は背中にたどり着く。
「・・・玉・・・」
何度も謝罪を繰り返すか細い玉の声――嘘を吐いているのは俺なのに、と俺は罪悪感に襲われながらも、首を振り向かせ、玉の表情を見つめる。すると、胸の下に腕を回され、そっと優しく抱き起される。身体を反転させられて、先ほどまでベッドに埋もれていた俺の身体は、玉の腕の中に包まれていた。玉の逞しい胸板から、力強く伝わってくる心音――けれど、その音を聴いていると、不思議と心が落ち着いていくような気がした。俺もそっと玉の背中に、腕を回してしまっていた。
「・・・太陽の光に包まれているみたいだ・・・」
だから光に溶けて朝には姿が見えなくなってしまったのかな、と今度は玉が俺の胸板に頬を寄せ、穏やかに微笑んでいるようだった。
「ミツ、キスしたい」
「玉、それは・・・」
「・・・唇は最後にって言ったよね?せめてその感触だけでも思い出させて欲しい」
二人が繋がった事実を確認させて、と頭と肩をしっかりと抱き寄せられて、不意に近づく玉の美しい瞳に吸い込まれそうになる。
「・・・っ、玉・・・」
「俺の天使・・・ミツ、愛してるよ」
ストレートに投げかけられた言葉と同時に重ねられる唇――拒むことも忘れて俺は身を委ねてしまっていた。
next→5-14へ
563人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時