母、よこーさんの憂鬱２（玉北←藤） (ページ5)

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みっちゃんの勘違い２② side:K ページ5

みっちゃんの勘違い２② side:K

「いーやーだー！！」
　やだやだ、と頭の中に浮かんだ妄想を振り払うかのように俺は頭を何度も横に振った。
「玉ちゃんも藤ヶ谷のこといい匂いって言ってたし・・・このままじゃ、玉ちゃんを藤ヶ谷に取られちゃう・・・！」
　いつもいい匂いがして、かっこよくて美人な藤ヶ谷――俺にとってはシンメだけど、まさか好きな人までかぶっちゃうなんて(北山！シンメなのになんでそこだけ間違えるんだ！by藤ヶ谷)。
　今週末の夜も玉と一緒に過ごす予定だ。玉としてはどうやらまた俺にいつもの女の子の格好をして欲しいオーラが出ていたからそのつもりだったけど、部屋着みたいになってしまうくらい着ているのでいつかは玉に飽きられてしまうかもしれない。そのときにもっとドキドキさせたりしないと、玉の心が揺り動かされて――藤ヶ谷に奪われてしまうかもしれない。見えない不安ばかりが込み上げてきてしまって、俺は思わず顔を顰めてしまった。
「よーし・・・！」
　買い物に行かなくちゃ、と俺はベッドから跳ね起きた。

***

「ミツ、いらっしゃい。待ってたよ」
「玉ちゃん、遅くなってごめんね」
「大丈夫だよ、今日も可愛い。チュッ」
　玄関に入って扉を閉めて振り向くと、玉にそっと腰に腕を回され、唇に熱いキスを贈られる。トロン、とうっとりしてしまい、それだけで脱力した俺は、ハァッと大きく息を吐き出し寄りかかる。
「じゃあ、続きは部屋で・・・って今日ミツ何か荷物多いね」
　持ってあげる、と自分が持っていた荷物にそっと手を伸ばしてくれる玉をかわす様にして、俺は紙袋を両腕で抱え込んでしまう。
「・・・ミツ？」
「あ、大丈夫だよ。そんなに重くないし、ありがと玉ちゃん」
　ところでシャワー浴びた？と急に話を変える俺に少し戸惑った様子の玉は、コクン、と頷いた。
「じゃ、じゃあ、もう俺もシャワー浴びていい？・・・いろいろ準備したいし」
「え、シャワー浴びて準備って何か期待しちゃうけど」
　どうぞどうぞ、と促され、俺は勝手知ったる玉の家に上がり、一目散にお風呂場へ向かう。家でもシャワーを浴びてからここに来ているからそんなに時間はかからないはず――むしろ準備にきちんと時間をかけなければ、と俺はいつもの黒のワンピースと、買ってきたばかりのラッピングされた可愛い袋を取り出して、ゴクッ、と喉を鳴らした――

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