カップル玉北編 32 side:T ページ32
32 side:T
結局ミツのスカートの中から追い出されて、顔を真っ赤にしているミツに話を聞いたところ、二階堂がどうしてもハロウィン音楽祭のガヤに惚れてしまって、どうしてもきちんとしたセットで写真を撮りたかったのだとか。写真がないと恋煩いで夜も眠れないばりなことを言われたガヤは困り果てて承諾したらしいのだが、二人きりでこんなことをしていると思われるのが嫌でミツに助けを求めたらしい――恥ずかしいから誰にも言わないでくれ、とガヤに言われて、ミツはだんまりを決めていたようだった。
「・・・あ、じゃあ、ダイエットって・・・」
「洗ったから縮んじゃったのかな・・・何かちょっときつかったから・・・」
「というか、二階堂の奴、千賀いるのにこんなことしてていいのかな」
「あ、だからね・・・」
「藤ヶ谷さん、もう少し足を前に、そうそう・・・それで俺を蔑むようなSっぽい視線ください！」
「・・・いつまで撮るの？」
「あと、もうちょっと、次はスカートを少し上に・・・」
「・・・これでいいかしら・・・！！」
「へ？って、わぁ、千賀！！」
「最近、カメラ磨きながらニヤニヤしてると思ったらこんな・・・何なんだよ、最近ガヤさんのことばっかり！！」
妬けるわー！とスカートを両手で捲り上げるようにして、千賀はカメラの前に立ち塞がった。ミツが呼んだの？と俺が問いかけると、うん、とはにかんで頷いた。
「だって、隠し事はよくないでしょ？」
「そーだね」
「・・・まぁ、あの二人が今後どうなるかはちょっと分からないけどな」
椅子から立ち上がりこちらに歩み寄ってくる呆れた顔をしているガヤは、大きく一つため息をついた。
「いや、待て、千賀！これとそれは違うんだ！」
「何が！？もう勝手にホテルの予約も取ってるし！どうせガヤさんと行こうとしたんでしょ！！」
浮気するなんて酷い！と半べそになりながら、千賀は二階堂の背中をポカポカと叩いている。
「やべー、俺、巻き込まれた」
一足先に退散する、とガヤは足早に出ていってしまった。俺とミツは二階堂と千賀のやり取りを見つめながら、何となく昨日の俺達を思い出し、何となく気恥ずかしくなってしまう。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
