カップル玉北編 16 side:T ページ16
16 side:T
「・・・えっと、そうダイエットしてるんだけど、ちょっと頑張りすぎてお腹が空いちゃったから・・・」
「いいよいいよ、みっちゃんはご飯を食べているときが一番可愛いよ」
よしよし、と頭を撫でてくる横尾さんは本当にミツが可愛くてしょうがないというオーラを全開にしている。いつも睨まれている俺にとってはその状況が不自然過ぎて何だか素直に喜べずにいた。
「太輔と一緒になってくれたら、毎日俺が美味しいご飯作ってあげるんだけどなー」
「えーと・・・うーんと・・・」
どういうつもりで横尾さんはこの発言をしているんだろう、と俺はため息を吐いた。ミツはもしかしたら俺のいないところで横尾さんに俺と別れるように、ガヤとくっつくように言われているのだろうか。全然そんな素振りを見せたことがないから全く分からなかった。ちなみに俺は毎日挨拶のように横尾さんにプレッシャーをかけられているけれど。
考えておくね、とニッコリ横尾さんに笑いかけ、俺はハアッとため息を吐いた。ミツはいつもどう躱してくれているのだろうか――
「そうそう、この間も目の前で着替えてもらったじゃん？」
全然問題ないよ、と藤ヶ谷も優しい笑顔でこちらに視線を送ってくる。
――・・・っ、はぁっ！？ガヤの前で着替え！？
それはミツがガヤの前で脱いだという意味なのだろうか。想像したらイライラしてしまって俺は思わず不機嫌を全開にしてガヤを睨みつけてしまった。ガヤは少しびっくりした顔を見せている。
「・・・北山、お前やっぱり今日おかしいぞ」
まるで別人みたいだ、とガヤに声をかけられ、俺はハッと我に返る。でも正直もうどうすればいいのか分からなくなっていた。ミツが俺以外の人の前で見せる表情とか仕草とか行動とか――恋人の全てを分かった気になっていたけれど、俺の知っているミツは俺の前で可愛く微笑む姿だけだったのかもしれない。
しょぼくれるようにして唇を尖らせていると、横尾さんは裕太みたいな顔してる、と苦笑いをしていた。
「・・・北山、いつもみたいにするか？」
おいで、と藤ヶ谷は自分の太ももをポンポンと叩き手招きをする。
「はぁあああああっ！！？」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
