カップル玉北編 17 side:T ページ17
17 side:T
まるでそこに乗るように促されている気がして俺は驚きのあまり椅子から転げ落ちる。完全にガヤに止めを刺されたような気がした。ミツを膝の上に乗せていつもピーとかピーとか(自主規制)しているとでも言いたいんだろうか。ミツとガヤの間には一体何があるんだよ!と俺は拳を握りしめた。
「みなさん、すみません。先にソロ写真撮影を行います」
横尾さんから、と声をかけられ横尾さんはスタッフさんと一緒に歩いていってしまった。
「・・・ほら、北山、立てるか?」
颯爽と立ち上がったガヤが俺の前に手を差し出す。俺はミツの身体に触らせたくないと瞬間的に思ってしまい、罪悪感はあったけれど、その手は取らずに俺は立ち上がった。
「・・・ありがと」
「北山・・・」
平気か?と背後から肩を抱かれ、俺はビクッと身体を硬直させてしまった。
「今日は・・・あんまり話しかけない方がいい?」
そういうわけじゃないんだけど、と俺はガヤの手を振りほどくように振り向いた。ガヤは相変わらず穏やかな笑顔を浮かべていた。まるで駄々っ子をあやすかのような優しい笑顔で俺はただただ戸惑ってしまう。
「太輔ー!次、ソロ撮影だよ!!」
了解!と声をかけ、ガヤは俺の頭をポンポンとしてくる。ダイエットもありがとな、と優しい視線が俺にとっては突き刺さってくるようだった。
「じゃあ、今度の土曜日はよろしく頼む」
「・・・土曜日」
ミツも俺もオフだったから一緒に釣りでも行こうと思っていたのに、ミツは約束があるって言っていた日――
「・・・とびきり可愛い北山を・・・楽しみにしてる」
そう俺の耳元に甘い声で囁くと、ガヤは横尾さんと入れ替わりでソロ撮影に入っていった。
「・・・キングの低音やべー」
思わず背筋に電流が走り、ぶるっと身震いをさせてしまった。いつもこんな甘い声でミツに囁いているのだろうか――しかも近寄られた時の声に負けず劣らずの甘い香り。ガヤが瞳や耳や鼻を通してミツを侵食しているかと思うと、気が気じゃなかった。ガヤの気持ちは結局のところ分からない。その気なんかないのかもしれない。それでも今度の土曜日に二人は会う約束をしているという事実だけで頭がおかしくなってしまいそうだった。何で俺たちは入れ替わってしまったのか――知らなければ良かったことまで知る羽目になって、ミツとの大切な日々が砕け散っていく気がした。
「ミツ・・・ガヤと何の約束をしたんだよ・・・!!」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時