お願いごと ページ46
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“本当にごめん、お詫びに何かさせてください”
あの日の私みたいな
デジャブみたいな
北人くんからのそんな連絡に、
広場で1人、思わず笑ってしまう。
朝からではなかったみたいだけど、予定通り仕事にも行けたみたいで、安心した。
“申し訳ないから、何かさせて”
北人くんからの通知の上に、壱馬くんからのメッセージが重なる。
朝から仕事って言ってたけど、その合間にわざわざ送ってくれてるのかな
2人して本当に律儀だな…
私のことなんて別に気にしなくていいのに
北人くんには借りを返しただけで
壱馬くんに至っては北人くんのメンバーということ以外は責任ひとつも無いし
なんて思いながら、
“お気持ちだけで十分です。”
そう送ると、
川村壱馬いやいや、そういうのは良くない。二人で会うとかはできへんけど、何でも言って
って壱馬くんらしい返事。
北人くんはだめだめだめの一点張り。
毎日忙しい2人に、私がお願い出来ることなんて何もないよ
…するとしても、何をお願いしていいのか分からないし
して欲しいことって言われてもなぁ
私が今したいことって、何だろう
考えながら、顔を上げると見える。
この広場の隅っこは見渡しがよくて、
仲良く写真を取り合ってる人とか、
話し合いながら一緒に課題やってる人とか
隣り合わせで座ってお弁当食べてる人とか
いろんな景色が見える。
でも、別にいいんだ、私は。
たまにくるちゃんが来てくれるだけで嬉しいし、
くるちゃんが居てくれるだけで私は1人じゃないって思える
もう、こんな気持ちになるのは慣れたよ。
そう、思ってたけど
いろいろ考えをめぐらせて
1つだけ浮かぶ、お願いごと
…本当にお願いしてもいいのかな
大学生みたいなことしたいです
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時