飼い主様はどちらやら (ページ7)

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天使7 ページ7

居場所の検討は付いている。
どうせあのダボのとこだろう。
さっき見た顔がダボを思い出させて胸糞が悪くなる。
もともと上手く逃げるために女の格好をなんの抵抗もなくしていた坊だが、まさかあそこまで仕上げてくるたぁ。ガキの抵抗にしちゃあ称賛ものだ。
あとで覚えてやがれ。

時刻は17:50。まだ日が落ちることはねぇが、こっちもガキの鬼ごっこに永遠に付き合っている気はない。
自由時間は十分与えてやったつもりだ。
タイムオーバーだ、クソガキ。

「銃兎、あいつのうちに行って坊迎えに行ってこい」

「は？私はあなたと違って暇では無いのですが？」

「これ以上問題起こされてもいいなら俺ぁ構わねぇぞ」

「っち、一つ貸しだからな」

乱暴に切った電話を投げそうになるのを抑える。
本当に手のかかるガキだ。

2時間ほどが経つと、入り口の方が騒がしくなった。
やっと来たかと持っていた煙草を灰皿へ押し付ける。
バタン、と大きな音を立てて開かれた扉には、苛立ちを表情に浮かべた銃兎と、その肩に担がれながらもギャーギャーと抵抗を見せる坊。

『離せ！降ろせぇ！！』

「はいはい着きましたから下ろしますよ」

下ろされて服を整えると、キッと俺を睨んだ。
まあ怖さなんざ微塵もねぇが。

「よぉ、坊。さっきぶりだなぁ

お早いお帰りで安心したぜ」

『優しい優しいウサギさんがわざわざ迎えに来てくれたからね

仕方なく帰ってきてあげたんだよ』

「そりゃあ、ウサちゃんに感謝しねぇとな

……で？今回はちっと悪戯がすぎたんじゃねぇか？

そのふざけた格好も含めて」

俺のテリトリー以外で問題起こしやがることもそうだが…なにより。
黒髪に黒子、オッドアイ。
思い浮かんだクソ野郎をローテーブルを蹴って鎮める。
クソガキはニヤリと笑うと、人好きするような笑顔を浮かべて目を細めた。

『楽しかったよ？お散歩

だーいすきな一郎にも久しぶりに会えたし

似合ってるでしょ？この格好

犬の躾に必要かと思って』

調子になったそいつの首元を掴み上げる。
銃兎が落ち着けと叫んでいるが、こいつは一度痛い目見なきゃわからねぇんだよ。

「おいクソガキ

てめぇの世話してくれてる人間にそう迷惑かけちゃいけねぇよ

てめぇは親父のおかげで生きてることくらいわかってんだろうな」

『これだから年寄りは恩着せがましくて嫌だよ

僕が今生きてるのはお母さんのおかげ

無理やりお金で僕を買ったどこぞのジジイに感謝することなんてない』