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ピコンと、彼女の置いていったスマホから音が出る。また仕事の内容かと思い覗き込めば、直ぐに画面が暗くなった。
「……」
そういや、前はうらたさんの誕生日やったよな…。
どうやら指紋認証よりもパスワードを主としてるタイプの人間らしく一致よりも先に4桁を埋めるパスワード画面が現れた。
『0809』
くっそ、うらたさんに恨みとか全然ないけど腹立つ。全然羨ましいとか思ってないけど、イライラするなー。
感情任せに画面をタップするが、最後の数字を入れても認証不可になる。
「え、」
もしかして、パスワード変えた?
……いや、もう二年も経ってるんだから全然いいんだけど…。
しかし、パスワードとは使っていくほどなれるものであってLINEのアイコンのようにコロコロ変えていくものでは無い。なんなら、その設定は初期の内に済ませているもので、そこから設定を変えようだなんてよっぽど心が変わったか何かだ。
彼女が新規のスマホにしたと言うわけでもないし…。
試しにうらたさんの西暦と彼女の誕生日を入れてみるがそれ以降の画面は現れない。
「……、………まさかねぇ…?」
これを外したら、相当恥ずいぞ。これほどまでにない緊張感の中息を飲んでとある数字を入れる。
いち、にぃ、…ぜ、
「何してるの?」
「うぉわっ!?ビビったーーーっ!!」
「驚いてるのはこっちよ。…私のスマホ気になるの?」
修羅場へと変わるかと思った場面は彼女の表情である意味面倒臭い方向へと移り変わる。
「ふふっ。へぇ、志麻くんって意外と女々しいのね」
「はぁ??んなわけあるか!」
「解けたの?」
『パスワード』重く響く言葉に詰まって入れば女々しい上にヘタレだったのね。とプライドをねじ伏せるような言葉が飛んできた。くっそ、舐めやがって。
「あら?もしかして、単純に分からないのかしら?」
なら、ヒントをあげる。
彼女の最後の言葉が確信へと変わった時、自分の誕生日を入れば次の画面へと移り、この前のLIVE終わりの俺の自撮りを背景にしたホームが見えた。
「これ、」
「あっ、」
珍しく墓穴を掘った彼女はすぐさまスマホを奪い取って再度ヒントに貰った言葉を繰り返した。
「…私の好きな人」
彼女は真っ赤な顔で最後にそう言った。
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作者名:作者一同 | 作成日時:2019年10月6日 10時