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「なぁ、A、」


珍しく返事が来ない。

そう思った数分後、俺の名前を何回も呼ぶ声が聞こえた。


「わっくん、わたる、ねぇわたる…」

「ん、どーした?」

「ありがとう、」


棚にある、君によく似た顔の子の写真は満面の笑みで綺麗に写っている。

目の前の君も、満面の笑みだ。

随分と綺麗で、細くて、


それは、君だ。Aだ。

俺が好きになった。俺が守りたいと思った。俺が愛すると決めた。死ぬまでも、愛し続けると決めた。たった1人の愛しき人。


「A、これ、ほんとにつけんの?」

「うん、、つける。みどり、の糸、左手の薬指。」


彼女の左手の薬指には、均等に巻かれた緑の糸。

俺には、端と端を結ぶことしかできない。


「…………ちゃんと、新しいの買ってやるからな」

「ほんとに…?ふふ、うれし、ぃなぁ、、」


そんな顔されたら、そんな事を言われたら、今までの覚悟が全部壊れてしまう。お前がいなくなったとき、俺は誰を愛すればいいんだろうか。

Aがいなくなって、泣きじゃくる俺の姿だけは、見守らないでいて欲しい。

俺が泣き止むまで、ただひたすらに空を見上げていて欲しい。




「ずっ、と、一緒だよ、?」

「当たりめぇだろ、」




離さねぇって言ったろ。
お前の髪がサラサラで、毎日クシで溶かしてた頃に。

今では、緑のニット帽なんて被っちゃって。緑がいい緑がいいなんて、嬉しすぎる我儘だ。


俺は抗う。お前が死んでしまう運命に。

この世から消えてしまう運命に抗ってやるんだ。


そんでもって、来世で会う運命になるんだ。俺らは。


「A、愛してる」

「知って、ぅよ、、あたしも、渉のこと、愛し、てる、、」


あぁ、今すぐにでも俺のを、お前にやれないかな。

なんで、あんな馬鹿げた約束したんだよ。どっちかが死ぬんなんて、そんなの。

俺たちまだガキだったろ、あんなガキのくせして、なんで、、








「そ、それじゃあ!!もし、私が死んじゃったら、わっくんの心臓になれるの?!ずっと一緒にいられる!!!やったぁ!!!」








「ばっかじゃねぇのっ、、」




「わ、、た、ぅ、、」









「また、、ね、 」









「ばっかじゃねぇのッ!!」






ナースコールを壊してしまいそうな力と勢いで押してしまった。





「ごめ、ん、………」





あとなんだか、怒鳴り散らしたことが、お前に悪いような気がして、



溢れた涙をごまかしたくて、








お前の唇を、奪ってやった _

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作者名:作者一同 | 作成日時:2019年10月6日 10時

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