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「なぁ、A、」
珍しく返事が来ない。
そう思った数分後、俺の名前を何回も呼ぶ声が聞こえた。
「わっくん、わたる、ねぇわたる…」
「ん、どーした?」
「ありがとう、」
棚にある、君によく似た顔の子の写真は満面の笑みで綺麗に写っている。
目の前の君も、満面の笑みだ。
随分と綺麗で、細くて、
それは、君だ。Aだ。
俺が好きになった。俺が守りたいと思った。俺が愛すると決めた。死ぬまでも、愛し続けると決めた。たった1人の愛しき人。
「A、これ、ほんとにつけんの?」
「うん、、つける。みどり、の糸、左手の薬指。」
彼女の左手の薬指には、均等に巻かれた緑の糸。
俺には、端と端を結ぶことしかできない。
「…………ちゃんと、新しいの買ってやるからな」
「ほんとに…?ふふ、うれし、ぃなぁ、、」
そんな顔されたら、そんな事を言われたら、今までの覚悟が全部壊れてしまう。お前がいなくなったとき、俺は誰を愛すればいいんだろうか。
Aがいなくなって、泣きじゃくる俺の姿だけは、見守らないでいて欲しい。
俺が泣き止むまで、ただひたすらに空を見上げていて欲しい。
「ずっ、と、一緒だよ、?」
「当たりめぇだろ、」
離さねぇって言ったろ。
お前の髪がサラサラで、毎日クシで溶かしてた頃に。
今では、緑のニット帽なんて被っちゃって。緑がいい緑がいいなんて、嬉しすぎる我儘だ。
俺は抗う。お前が死んでしまう運命に。
この世から消えてしまう運命に抗ってやるんだ。
そんでもって、来世で会う運命になるんだ。俺らは。
「A、愛してる」
「知って、ぅよ、、あたしも、渉のこと、愛し、てる、、」
あぁ、今すぐにでも俺のを、お前にやれないかな。
なんで、あんな馬鹿げた約束したんだよ。どっちかが死ぬんなんて、そんなの。
俺たちまだガキだったろ、あんなガキのくせして、なんで、、
*
「そ、それじゃあ!!もし、私が死んじゃったら、わっくんの心臓になれるの?!ずっと一緒にいられる!!!やったぁ!!!」
*
「ばっかじゃねぇのっ、、」
「わ、、た、ぅ、、」
「また、、ね、 」
「ばっかじゃねぇのッ!!」
ナースコールを壊してしまいそうな力と勢いで押してしまった。
「ごめ、ん、………」
あとなんだか、怒鳴り散らしたことが、お前に悪いような気がして、
溢れた涙をごまかしたくて、
お前の唇を、奪ってやった _
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作者名:作者一同 | 作成日時:2019年10月6日 10時