【文スト】君が良ければ僕も良し！【江戸川乱歩】

32.風邪を引いた夢主を乱歩さんが看病*リク ページ36

「うーっ……ごほっ、気持ち悪い……」


「昨日ちゃんと髪の毛乾かさないで寝たからだよ。
今日は僕が１日つきっきりで看病するから、大人しくしててね」


Aちゃんが熱を出した。理由は前述の通り。


彼女の額のタオルを取り、氷水を張った桶に入れる。

ちゃぷん、と水の音を聞きながらタオルを絞り、彼女の額に載せ直すとAちゃんは「んん、」と色気のある声を出した。




………………これは、僕の理性が保つかが心配だ。


＊＊＊


「し、しごと……しなきゃ、ごほっ」


「もー、馬鹿なの？
そんな体調で仕事なんか行けるわけないって。ちゃんと寝てなさい」


「うー……ごめんね、らんぽさん…めいわく、かけて」


苦しそうに咳き込み、小さく唸り声を上げたAちゃんは僕の服の裾をつかんだ。


「大丈夫、迷惑なんかじゃないよ。
…そうだ、Aちゃんって林檎好きでしょ？
林檎のすりおろし食べない？」


「………たべたい」


「じゃあ僕、材料買ってくるよ。ちょっと待って…………て？」


ガシッ。


Aちゃんの腕が立ち上がった僕の足首を掴んだ。
…………さっきよりも強く。


「らんぽさん、いかないで……」


「林檎のすりおろし、食べないの？」


「たべる」


「じゃあ買い物………」


「だめ」



どういうこと！？
熱のせいで意識が朦朧としているのか、矛盾したことばかり言うAちゃんはふらりと僕の胸に倒れ込み、ぼそりと呟いた。


「らんぽさんって、いーにおいする……」


「Aちゃん！！！それはもうちょっと僕の乱歩さんがげんか………い…？」


「…………すう」



限界を迎えた僕の乱歩さんは、すやすやと安らかに眠るAちゃんの寝顔により、しょんぼりと萎えてしまった。

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