9「コーチの証言」 ページ10
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ウチには危なっかしいマネージャーがいる。
「金田一くん、さっき突き指しちゃったでしょ?テーピングするよ!」
「あ、あざっす!」
「Aちゃーん、俺もさっき突き指してもうた〜」
「大丈夫ですか?少し待っててください!」
「まてまてまてコイツ嘘ついてるぞ、騙されるなA!」
「嘘なんて酷いやないですか〜」
2年の結城Aは、簡単に言えば超良い子。
入畑監督が一瞬で笑顔になるくらい良い子だ。
そんな彼女は危機感が全くなく、今も稲荷崎の奴らからことごとく狙われている。
そしてその好意に1ミリも気付いていない。
「入畑監督」
「なんだ」
「黒須監督に取られないようにしてくださいね」
「それはお前もだろ」
試合中に席を離れた時、黒須監督と結城の会話が耳に入った。
宮侑のサーブの見分け方を聞いていた。その時の黒須監督の顔は────俺たちと同じだった。
試している、彼女を。マネージャーとしてどれほどできるのか。素人の結城はどれほどの腕があるのか。
それは、普通のマネ業だけをやらせるだけじゃない。選手の全てを監督やコーチのように見させようとしているんだろう。
「(まあつまり……結城を引っこ抜こうってか)」
とんだ監督だ。
今回の練習試合だって、ウチとやり合うのが目的じゃないだろ。結城の偵察だ。
「相変わらず先輩のテーピングうまいっスね」
「へへ、たくさん練習したんだよ?」
「ゔっ…」
「金田一ぃいぃいい!!」
全くウチは馬鹿な奴らばっかで困ってしまう。
それも、結城馬鹿な奴ら。
どいつもこいつも虜になりやがって、アイツが休んだ時は練習どころじゃなかったな。
……それ見て監督が激怒してたし。
────そして、そんな部活を結城は楽しそうにしている。
文句を言う時はいつも楽しそうで、試合で負けたら選手と同じくらい悔しんで。
「でも残念でしたね。
既に彼女は、ウチのものだ。
矢巾が頼み込んで部活に入った時から、ずっとずっと。バレーのルールも何も知らなかった彼女がここまで実力をつけてきたのがその証拠だ。
結城もまた、部活に惚れ込んでいる。
「ローテーションの仕組みを何度アイツに教えたか…」
「ははっ、そうだな」
隣のベンチに置いてあるノートを手に取る。
綺麗にまとめられたその表紙には、"バレーノート 6"と書かれていた。
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ワ - いいなー!!!私も二次元入って宮兄弟にナンパされたいーーーー!!!てか友達になりたい!!この作品ちょーー面白いのでこれからも頑張って下さい!!!応援してます!!ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。 (2月9日 17時) (レス) @page1 id: 98e979a673 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - お帰りなさい!第一志望合格おめでとうございます!無理せず頑張ってください!応援しています! (2月7日 23時) (レス) @page18 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - お帰りなさいませ!!!更新復活ありがとうございます。映画の楽しみですよね!これからも無理なく頑張ってください 応援してます (2月7日 22時) (レス) @page18 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (9月3日 4時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
モモ - かーーーーーーーーーーーみです。ナンパされて当然だという格好をしていました。かぁぁぁぁぁかわいい!! (2023年1月7日 10時) (レス) @page15 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くせらや | 作成日時:2022年11月23日 17時