記憶 ページ27
ある場所で立ち止まる
___伊吹の家の目の前で。
私はなにがしたいんだ
この記憶の中の、男の子は、誰なんだ
わからないのに涙が止まらない
考えると胸が苦しくなる
___どのくらい経っただろうか
呆然と立ち尽くしていると声をかけられた
神「い、伊織...？」
ゆっくりと振り向くと心配の音がうるさい伊吹がいた
樹「...ご、めん」
ぽつりと発した言葉
なんで謝ったのか自分でもわからない
でも、なにかがある
喉の奥につっかえて苦しい
...私はまだ何か大事なことを忘れてる
なぜかそう思う
伊吹は傘を差し出して笑った
神「何が？それより風邪ひくよ。家、上がって
く？...帰るなら傘持ってきな」
私は切なくて苦しくて、その場から駆け出す
忘れてる？何を？
思い出した？誰を？
一つも繋がらないピースが頭の中に散りばめられる
...誰か答えを教えてよ
家に帰り玄関でしゃがみ込む
はぁはぁはぁ
「あれ、お嬢。どうかしましたか？」
話しかけてきたのは私の信用のおける部下...
世話係かな
名前は
あと1人、私の味方になってくれる奴がいる
いや、味方って...そんなんいらねぇけど
秋翔はせが180くらいあって顔は性格を表すって感じ
その性格ってのはね、とっても口が悪い。てかフランクな感じ
ムカつくやつ
「そんなびしょ濡れで風邪ひきますよ」
横から来たこいつは
身長は秋翔と同じくらいか、数センチ高い
いつも笑顔で迎えてくる
別に悪い気はしないが
兄貴のような存在
...本当の兄貴はあんま喋らないし
樹「お風呂誰も入ってない？」
そう聞くと碧絃が多分と答える
樹「じゃあ行ってくる」
取り敢えず荷物を2人...いや、碧絃が持ってくれたので服を取りに部屋に向かう
途中でドクンと心臓が高鳴る
父、母の音がする
ああ、母親と父親が近づいてるな
案の定、曲がり角を曲がって2人が歩いてきた
無理矢理にでも口角を上げる
樹「ただいま戻りました」
2人は一瞬こちらを見て
父「お帰り」
母「濡れてんだから早く風呂行きな」
樹「はい、そうさせてもらいますね」
笑顔ですれ違う
樹「どう？上手くなったでしょ」
柊「お嬢すげぇ」
八「でも、あんまり無理しちゃダメですよ」
わかってる
これまでの日常に少しだけのスパイス
これからの日常が少しでも変われたら
お風呂に入りながら考え事をする
2人は知ってるかな、私の子供の頃の話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みるくストロベリー | 作成日時：2020年8月5日 16時
