守りたくて (ページ25)

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3億円強盗事件の全貌ページ25

樹「いや、ないでしょ」

若「なんでだ？」

樹「妻に渡す慰謝料、わざわざ盗んだ、しかも
　番号がわかっているやつ、渡すと思う？
　すぐバレるだろ」

黒「俺も同じ意見」

上「それに盗まれた金の中の新札分と慰謝料が
　同じだってのもなんか変じゃね？」

それな

神「おまけに1億1千万って慰謝料としては高く
　ない？」

黒木が憂鬱そうな息をつきながら首を横に振った

黒「野村はその金を全部妻に渡そうとは思って
　なかったかもしれない」

あー、そっか

...それより3億円強盗事件の犯人の方が気になる

野村はその金が盗まれたものだと知らない可能性が高い

だとしたら犯人は野村ではない他の誰か

じゃあなぜ、野村の手元に？

犯人は何人...多少予想はできるが

ゴールは犯人を捕まえることだな

樹「なぁ、やっぱ犯人は野村じゃない可能性の
　方が高いよな」

みんながこちらを注目する

あ、れ。言うタイミング間違えた？

ま、いーや

樹「犯人は2人以上で、そのうちの1人は銀行の
　内部の人。そして成功すると確信を持って
　いた可能性が高いかな。だって犯罪は慎重
　にいかなきゃ失敗するじゃん。何人かが
　役割を分担して協力して盗もうとしたん
　じゃね？」

上「お前さ、俺らの仕事とんないでくんね？
　空気読めよ」

樹「...ごめん」

黒「それよりどこで集めたの？その情報。しか
　も的確に推理してるし」

樹「...ノーコメントで」

黒「ちょっと待ってね、樹神。みんなに説明す
　るから。3億円強盗事件の全貌」

わかったんだ、すご

私は親の...ってか極道の皆さんに手伝ってもらった

ジュラルミンケースをどうやって運んだのか、も気になる

...犯人って死んでたんだ

...じゃあ金は？死んだ犯人の他にも誰か居た？

で、犯人は身元不明と

これは...

若「いやぁ、やる気の出る話だよな」
樹「...やる気出るな」

うわ、ハモった

若「やっぱそう思うよな、伊織」

樹「うるさい、会議進めて」

臣のやる気の出る理由は私とは全然違う

黒「樹神は、若武と同じこと思ってるの？」

いたずらっぽく笑ってくる

樹「...いや全く。臣と一緒にしないで」

若「なんだとっ？！」

樹「ただ...いや、なんでもない」

みんなが不思議そうな顔をする

私は何を言おうとしてたんだ

《ただ、みんなと同じ目標に向かうのが
　楽しい》

だなんて、絶対いわねぇ

そして、今後の方向性は
野村に脅して聞くみたいな話になった