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炊事場の方からママの声が聞こえた。1時間くらい寝かせてあげればーって言ってる。

そっと目を閉じる。狸寝入りをするつもりじゃなかったけど、流れ的にこうするしかない。

すぐ傍にまだAの気配があるから、俺の近くにまだいるってこと。
ぽっかりと口を開けて、寝てますよアピール。




「…おやすみ」




すると不意打ちで、そっと髪に指を入れられた。背中がゾクゾクして、身体が跳ね上がりそうになったのを必死になって抑える。

Aはそんな俺のことをつゆ知らず、ゆっくりと優しい手つきでナデナデしてくれて。

…なんだよ、普段なら絶対こんなことしないじゃん。って思ったら、ドキドキし始めた。

俺、何故か今すっごいバックバクなんだけど!
つーかバクバクし過ぎて、肩で息しちゃってるし!



それからAは、すぐにリビングから出ていって風呂に行ったみたいだった。

…よし、今の隙に帰ろう。

ドキドキしてる胸が落ち着かないうちに、飛び起きた。





「帰るわぁ」






深呼吸とウーンと伸びをしながら言うと、ママが驚いたように顔を覗かせた。





「あら、起きてたの?」





「一瞬寝かけたけど。マジで寝ちゃったら帰りたくなくなるし」





「泊まってってもいいのよー?」





「それはさすがにヤバいでしょ」





「ヤバい?」





幼馴染みつったって、男と女なんだからさぁ。って言おうと思ったけどやめた。
口に出した途端、ママが俺を警戒しだしたら厄介だ。
ママって結構天然なんだと思う。うちのかーさんと真逆のタイプ。

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作者名:七子 | 作成日時:2017年12月17日 12時

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