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Kenta side
｢...よし。｣
あれから、エントランスで鉢合わせた海青にお楽しみあるからね〜と適当に匂わせをして。そのままタクシーへ乗りこむと、陸さんが待つ自宅へと戻ってきた。海青、すっごい不思議そうな顔してたなぁ。
｢ただいまぁ。｣
え、やば。玄関開けた途端、すっごい良い匂いするんだけど。めっちゃ腹減る匂い。飯何かな。って匂いかいでる場合じゃなくて、早く上着脱いで準備しなきゃ。
｢健太〜？帰ったの、って、えぇっ！？｣
｢んふふ、楽しみにしててって言ったでしょ。｣
いつもはすぐにリビング行って飛びついてるから、中々来ないのを不思議に思ったのか玄関まで覗きに来て。俺の格好を見て驚いた顔をするから、もう一押しとばかりにビシッとポーズまで決めてやれば、何故かぽかんと口を開けたまま固まっちゃった。
｢陸さん？｣
｢...ねぇ。それさ、昼に俺が着て欲しいって言ったやつじゃないよね？｣
｢うん、前から買ってあったやつ。可愛い？｣
ふわりとスカートが舞うようにその場で回って、お姫様みたいにちょこんと裾を持って軽く膝を曲げてみせると、いつの間にか真顔になった陸さんが目の前にいて。びっくりして思わず後ずさった。だけど、
｢ふーん。前からこんな格好しようと思ってた訳だ？｣
｢っん、ちょ、りく...さ、｣
｢関係ないやましょーまで巻き込んで。ま、どうせ一緒に驚かせようなんて企んでたんだろうけど。｣
｢ちが、ぁ...ｯ、やめっ、｣
ぎゅうと身動きができないほどキツく抱きしめられ、スカートから伸びた足をかりと爪で引っ掻くように撫でられながら、今まで聞いたことのない低い声が耳元で囁かれる。何故かは分からないけど、怒っていることだけは理解できた。けど、予想してなかった展開に頭がパンクしそうで。...もう限界。そう思ったとき、つぅと熱いものが頬を伝っていくのが分かった。
｢え、健太...？なんで泣いてんの...？｣
｢ッなんで、って、りく、さん、...ｯひっく、こわぃ...、｣
俺だけに向けてくれる、砂糖を煮詰めたみたいな甘い表情や声が大好きで。それが見たくて、用もないのに無駄に呼んで怒られたこともあるくらい。けど今は、
瞳の中にちらと見えた、底の見えないほどの闇が怖くて堪らなかった。
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にのみい(プロフ) - いつもお話楽しみにしていますーー！スリボで陸さん受けが読みたいですー！！ちなみになんですけどTwitterは浮上しないのでしょうか？🥺不快に感じてしまったらすみません💦 (2022年2月13日 20時) (
レス) id: 337b13da5d (このIDを非表示/違反報告)
彩美 - 陸さん出てるの嬉しいー！かずりく好きなので読めると嬉しいです。 (2021年4月9日 12時) (レス) id: 29e05ea114 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shion | 作成日時：2021年3月1日 20時
