KZは兄弟！？

すれ違い 翼side ページ9

朝、教室に着くと、女子の話し声が聞こえた。
翼は、思わず耳を傾ける。

「なんかさ、急に保健室登校になった子、いるって聞いたんだけど。」

「聞いた聞いた。C組の子だっけ？｣

保健室登校？何か、あったのかな？
しかし、生徒会にそういう情報は入ってきていない。

今、忙しいし…第5条使って、調査してみようかな。

だが当然、こんな事態は翼にとって初めてだった。
無意識に、不安があったのだろう。

出ていこうとする姉を見かけ、思わず袖口を掴んでしまった。そこで、姉がボス的存在、古河愛理に呼び出されていることに気がついた。

あ…
気づくと同時に、手に微かな痛みを感じる。
手を、振り払われたのだ。

姉の目は、怒りや後悔の念で渦巻いていた。


翼は、行ってしまった姉の背を見つめながら、ゴメンなさい、と呟いた。

呼び出されたお姉ちゃんが1番不安なはずなのに、変に心配されたって、いらないだけだ。
今のお姉ちゃんに自分の不安だけを、話す訳にはいかないよね。

“独自で調査しよう”

不安を感じさせないように、笑顔でいとかないと。

翼のこれらの考えが、姉とのすれ違いを生んでしまったのだろう。



避けられ、目が合うことすらなかった。
しかし、翼は調査に忙しく、姉との関係を上手く修復できないまま、放課後を迎えた。

翼は、保健室登校の子に逢いに行くため、颯爽と教室を出ていった。
目を合わせることも、独自の調査の報告も無しに。


この後の出来事は、誰が想像できただろう。
もし、この時、無理矢理にでも関係を修復しておけば、あんなことにはならなかったのかもしれない…

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