気遣い ページ7
和典side
「の、典兄は見てないの?翼のこと。」
そう言われて、今まで感じていた違和感に気づいた。
いつも一緒に来る彩と翼が、今日は別々だ。翼に至っては、まだ来ていない。
喧嘩…か?
こういう時、真っ先に気づくのは貴兄だ。
貴兄の方を向くと、目があった。
‘迎えに行ったあげて’
そう訴えられた気がする。
やっぱり貴兄は気づいてたのか。
妹と弟の様子くらい、ちゃんと見とかねぇとな。
誘うのは…臣でいいか。
彦兄、忙しそうだしな。
「俺よりクラス一緒の彩の方が知ってんだろ。お前が見てないんだったら、多分誰も見てない。探しに行くぞ、来い、臣。」
「なんで俺なんだよ!」
嫌がる臣を無理矢理連れて行く。
仕方ねーだろ、貴兄に頼まれたんだし。
「まずは翼の教室へ行くぞ。」
そう言って強引に手を取ると、臣は舌打ち混じりに手を振り切る。
チッ
こっちだって、好きでお前を誘ったんじゃねーよ。
「俺、いちお会長なんだぜ。今度の文化祭に体育祭、合唱コンクールに部費の請求…やることいっぱいだっつーの!」
知るか。
一番暇そうにしてただろ。
こいつと喧嘩だったら、1日中でもできっけど…
翼と彩の喧嘩なんて、珍しいな…
「おい、1Aついたぞ!」
やっべ、すっかり忘れてた。
「俺様を誘うんだったら、もっとしっかりしろよな。」
きっさま。
あと1秒早かったら、ぶん殴ってたぞ。
なんとか理性を取り戻し、俺は近くの1年の女子に声をかける。
「なぁ、お前さ、翼見てねぇ?」
「ーッ!典せんぱっ、臣先輩!」
赤面するほど、驚くことかよ。
「見てねぇんならいいけどさ。サンキュ。」
他当たるか。
目立ってて嬉しそうなバカは、無視だ。
帰ろうとすると、か細い声がした。
「あの…私、ツバサ君と誰か女子生徒が話してるの、見ました。その後、今度は2階に…」
そこまで言った女生徒に、臣はウインクをする。
あのバカめ。
そこまで目立つな。
双子でも、あいつの考えなんて理解できない。
「オッケ、分かったよ。Thank You!」
地味に発音のいい礼を残して、俺たちは去る。
もっとも、それをしたのは臣なのだか。
でも、これで翼のしてることは分かった。
「あいつ、何調べてんだろーな。」
「流石のバカ臣でも分かったのか。」
「んだとぉ!」
「真実を言っただけだ。」
そこまで言って、頭に衝撃が加わった。
見ると、貴兄がいる。
「2人とも、大声で叫ぶ内容じゃないよね?早く中に入れ。」
…もう生徒会室だったのか。
貴兄の怖さを身に浴びた2人だった。
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未麗 - 更新頑張って下さい‼ (2022年3月27日 14時) (レス) @page22 id: 1aa17b468f (このIDを非表示/違反報告)
ねねね - 面白いですね!更新まってます! (2020年3月9日 16時) (レス) id: 65314d53ab (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - アル@Project KZさん» 見てくれたんですね…嬉しいです!!ありがとうございます♪ (2019年8月22日 22時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
アル@Project KZ - 面白かったです! (2019年8月22日 20時) (レス) id: c93556c612 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - とうしろうさん» 短くて大丈夫ですよ〜!更新頑張りますね!ありがとうございます! (2019年7月31日 16時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずは翼 | 作者ホームページ:http://mizuha.uranai@tututu
作成日時:2018年9月7日 23時