沙希先生 ページ19
学校に着いたものの、もちろん門は閉まっている。
普通なら残業の先生がいるはずの校舎には明かり一つ付いていなかった。
先生までいないのっ！？
残業の先生がいると思い、驚きを隠せない私に、典兄は悔しそうに目を細めた。
「谷先輩は、暴力事件を先生にバレずにずっとやってたんだ。開成に入るなら、先生たちが早く帰る日を選ぶだろ…ずる賢さだけはあるからな…」
でも、と貴兄はニヤリと笑った。
瞳の焦りは隠せていないけど…
「忍び込んで罰則をくらうのと、俺らの弟…どっちが大事かなんて、1秒で分かるだろ？」
翼っ！！
「っ1秒もいらないっての！」
臣兄の叫びと同時に、皆が門を飛び越える。
出遅れた私と彦兄だけど、すぐに門を上り始めた。
火事場の馬鹿力って、こういうことなんだろうな。
切迫した状況に置かれていたら、無意識に力を出している。人間の体って、不思議だよね。
夜の学校は、思ったより静かで不気味だ。
風で木々が揺れる音、虫の鳴く声…でも、それらを感じないほど、私たちは切迫していた。
どこなの、翼…
「三手に別れ……」
貴兄の言葉を遮ったのは、機械音…着信音だった。
見たことの無い電話番号だったのか、首を傾げた後、通話ボタンを押した。
目撃情報だったらいいのに…
そう願わずにはいられない。
すると、貴兄がスマホを私たちに向けた。
スピーカーフォンにしてくれたってことは、本当に目撃情報！？
ささやかな期待に応えるように聞こえてくる声に、皆が耳を傾けた。
《翼君のお兄さんの、立花貴和君よね？私は、保健医の石江沙希です。》
どうして、沙希先生が？
だって、保健室なんてめったに行かないもの。
沙希先生は、少し不安気な声色で、話を進めて行く。
《実は今日…翼君が保健室に来てね。保健室登校の子と、話をしに来たの。》
保健室登校？
私たち生徒会に、そんな情報は入ってきてなかったはず…
もしかして、翼が調査している内容は、これ！？
《内容は言うなって念押しされてるんだけど…翼君が心配だから電話させてもらったわ。内容が内容だから…》
「その内容、詳しく教えてください。」
貴兄がすかさず食い下がる。
絶対、先生は谷先輩のことについて何か知ってるはず。
何が何でも、聞かなくちゃ！
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未麗 - 更新頑張って下さい‼ (2022年3月27日 14時) (
レス) @page22 id: 1aa17b468f (このIDを非表示/違反報告)
ねねね - 面白いですね！更新まってます！ (2020年3月9日 16時) (レス) id: 65314d53ab (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - アル@Project KZさん» 見てくれたんですね…嬉しいです！！ありがとうございます♪ (2019年8月22日 22時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
アル@Project KZ - 面白かったです！ (2019年8月22日 20時) (レス) id: c93556c612 (このIDを非表示/違反報告)
みずは翼(プロフ) - とうしろうさん» 短くて大丈夫ですよ〜！更新頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年7月31日 16時) (レス) id: 9487e9fcb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずは翼 | 作者ホームページ：http://mizuha.uranai@tututu
作成日時：2018年9月7日 23時
