391話 ページ45
「スイスやドイツじゃ、どこの家も、クリスマスには庭や山から切ってきたモミの木を飾るんだってさ。
モッチーは、それをやりたくて、大きなモミの木のある家を探したんだって。
この木を見つけて、ここを買う気になったみたいだよ。
昨年のことだって」
これを今年切ってしまって、来年以降はどうするんだ。
まさか、来年のことなんて考えてない…?
「でも大きすぎて、オレとモッチーの2人じゃ、飾りつけに時間がかかりすぎるじゃん。立花と桜田に手伝ってもらえるとうれしいよ。で、一緒にケーキを食べるっていうのは、どう?」
涼しげな目で、私と立花さんをのぞきこむ。
「いいだろ?」
『誘いは嬉しいけど、その辺りの予定がまだ不確定なのよ。予定がはっきりしたら考えるわね』
「わかった。立花は?」
「飾りつけは、手伝えると思う。ケーキ食べるのは、イヴの当日でなかったら、いいよ」
「そっか」
砂原くんは、がっかりしたように片目を細めた。
「飾りつけまで全部、イヴの日でないと、ダメだ。
モッチーがそう言ってるから。
今年のイヴは、ちょうど振り替え休日なんだ。
モッチーはいつもなら振り替え休日も事務所に出てるんだけど、イヴだけは、朝から休むんだって。
このことに関しては、なんだかすごくカルトなんだよ。
ツリーのてっぺんにつける星は金色だけど、どんな金色でもいいってわけじゃない。
蜂蜜みたいな金色、しかもそこのまわりに小さな星がついているようなデザインのでなきゃだめなんだとか」
確かに細かいし、具体的すぎないか。
そうでなければいけない理由があるとしたら。
「ま、しかたないか」
そう言って砂原くんは両腕を上げ、頭の後ろで組んで歩きだした。
「立花、桜田、モッチーのこと、どう思った?」
砂原くんは今回、私たちを安心させるために呼んでくれた。
それなのに、私の目は全く逆のものをとらえてしまった。
嫌になるが、気づかずにいて砂原くんに何かあったら、その時は、私は私を許せない。
「モッチーはさ、12歳で両親を亡くしたんだって。それに独りっ子で、兄弟もいない。親戚とも疎遠で、今はこの世に1人きりなんだって。だから、オレを大切にしてくれる。モッチーと一緒にいると、オレ、ああ自分は必要とされているんだなって実感するんだ。自分が価値のある人間に思える。そういうのって、幸せ感じゃ、ね?」
そう言って砂原くんは、笑った。
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mio - 返信ありがとうございます!あまり無理をしないでガンバってください!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - mioさん» コメントありがとうございます!更新はもうしばしお待ちください。お話は出来てるのですが、打つのが中々…。それでも、皆さんに少しでも早くお届けするため、がんばっております。これからもよろしくお願いします! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 忍大好きマンNさん» コメントありがとうございます!皆様の応援を糧に、精一杯がんばっていきます。これからも読んでいってください。 (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。そこまで言っていただき、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね♪ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年2月21日 13時