387話 ページ41
「砂原の里親は、弁護士らしい。同じ弁護士でも、うちの親なんかは共同の法律事務所で給料制だから、収入は知れてる。けどここんちは、自分で事務所を開いているっていうから、相当な収入があるはずだ」
3人とも、熱心にその話を聞いている。
私は他人の収入には、不審な点が無い限りは興味もない。
「入るぞ」
そう言って若武くんが門のドアフォンを押す。
機械音が対応し、その声の言うとおりに入力していくと、門が開いた。
「すげぇ、最先端技術じゃん」
私も思わず目を見張る。
「どれだけ金あるんだよ」
門のむこうには、空中でアーチになっている緑色のパーゴラがあり、その柵にバラがツタのようにからまっていた。
もう11月なのに、花がいっぱいついていて、とても華やかだ。
『綺麗ね』
「桜田ってバラが似合うよね」
『そうかしら。あなたもなかなかだと思うけどね』
バラのパーゴラを通り過ぎると、噴水のある庭が開けていて、その向こうに家が見えた。
1階部分の壁は煉瓦で、2階は白い壁に所々材木が埋めこんである。
「チューダー様式か」
高窓を見あげて、若武くんがつぶやいた。
「タイルの壁って、重そう」
『私はわりと好きよ』
チューダー様式は、15世紀から17世紀くらいまでのイギリスの建築様式で、タイル壁、白壁に浮き出している梁、それにファサードのアーチが特徴。
アンティークな雰囲気で、私は好きだけどね。
「行くぞ」
若武くんが私たちを見まわして言い、アーチ形の屋根の下にあるポーチに踏みこんだ。
ここに砂原くんが住んでるのね。
若武くんが玄関のドアフォンを押す。
きれいなチャイムが響きわたった。
「こんにちは。若武和臣といいます。砂原翔君、いらっしゃ」
まだ全部言い終わらないうちに、ドアが開いた。
「よっ!」
そこに、砂原くんが、両手をジーンズの前ポケットにつっこんで立っていた。
前と少しも変わらない笑顔で。
「迷わなかった?」
『ええ、大丈夫だったわ。元気かしら?』
「まぁな。おまえも元気そう」
フランスで体調が悪いと言ってたが、やはり一時的なものだったのか?
砂原くんは、ぐるっとみんなを見まわし、もう一度視線を戻して、立花さんに止めた。
「元気だった?」
立花さんがうなずくと、砂原くんは、クスッと笑った。
「トロいの、変わってねーな。でもオレ、そういうヤツが、けっこう好きだったりする」
中学生のクセに気障なとこ、黒木くんに似てるかも。
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mio - 返信ありがとうございます!あまり無理をしないでガンバってください!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - mioさん» コメントありがとうございます!更新はもうしばしお待ちください。お話は出来てるのですが、打つのが中々…。それでも、皆さんに少しでも早くお届けするため、がんばっております。これからもよろしくお願いします! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 忍大好きマンNさん» コメントありがとうございます!皆様の応援を糧に、精一杯がんばっていきます。これからも読んでいってください。 (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。そこまで言っていただき、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね♪ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年2月21日 13時