351話 ページ5
そんな話をしていると、若武くんと小塚くんが入ってきて、しばらくしてから立花さんも入ってきた。
みんなでテーブルをかこんでソファに座る。
「ごくろう。上杉、どう?」
若武くんに聞かれて、立花さんはほほえんだ。
「風邪だって。よく寝てればいいみたいよ」
私もふくめ、みんながほっとしたように息をついた。
「もう一つ、報告があるの」
立花さんが話したのは、あいつが居留守を使って、医師と従弟を追いかえしたということだった。
「お医者さんは、普通はジャンが出てくるって言ってたし、従弟もいつも会いにきてるみたいだったのに」
みんなが、ふっと緊張し、顔を見合わせた。
「それ、なんだ?」
「わかんね」
『ただ単に会いたくないのか、会えないのか』
「きっと、何かあるよ」
みんなは、しばらく考えこんだ。
しかしあきらめたように、若武くんが言った。
「ミシアが隠れているとしたら、あの塔しかない」
探索組の2人がうなずく。
「だが塔の出入り口には、カギがかかっている。おまけに出入り口の両側にデジュネとディネの部屋があって、そのドアが開いているんだ。オレたちが通ったときにはデジュネがこっちを見ていたし、帰りにもう一度通ったら、今度はディネがにらんでいた。警戒は厳重だ」
黒木くんがかすかな笑みをうかべた。
「厳重だからこそ、あやしいってことで」
まあ、そうなるわよね。
「とにかくあそこに突入してみることだ。問題は、その方法。どうやるか」
「カギは、万能キーオープンでいける」
黒木くんが言った。
「台所にしのびこんで、フォークを使って作るか、あるいは傘のホネか、自転車のスポークから作ればいい。オレがやるよ」
小塚くんが続けた。
「男2人は、眠らせればいいんじゃない?」
小塚くんの作った薬草の煎じ薬ね。
『あれを使うのね』
小塚くんは、足元に置いてあった黒いバッグを引きよせ、ファスナーを開けた。
「食事に混ぜるんだ」
まあ、小塚くんの作った薬なら大丈夫だろう。
小塚くんはバッグに手をつっこんだが、瞬間、
「あ」
そう叫んで、バッグにつっこんでいた手を目の前に上げた。
その指先はぬれていて、あの異臭がしていた。
みんながあわてて鼻をおおう。
「サンプル瓶が割れてる」
あわててつかみだした瓶は、下の方に亀裂が入っていた。
煎じ薬はほとんど残っていない。
「睡眠薬作戦は、不可能か」
若武くんが言って、ソファの背もたれによりかかった。
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mio - 返信ありがとうございます!あまり無理をしないでガンバってください!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - mioさん» コメントありがとうございます!更新はもうしばしお待ちください。お話は出来てるのですが、打つのが中々…。それでも、皆さんに少しでも早くお届けするため、がんばっております。これからもよろしくお願いします! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 忍大好きマンNさん» コメントありがとうございます!皆様の応援を糧に、精一杯がんばっていきます。これからも読んでいってください。 (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。そこまで言っていただき、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね♪ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年2月21日 13時