364話 ページ18
『重そうにしていたわけよ。石が大量につめこまれているわ』
石をつかんで出していくが、次々と出てくる。
「きっと湖に沈めるつもりで、重石を入れたんだろう。なんらかの理由で、それを変更して埋めることにしたんだ」
最後の石を取りだすと出てきたのは、コーヒー豆を入れる袋だった。
中に何か、入っている。
「それが、つまり、警察の目から隠したかったヤバいもの、か」
それは、ほぼ丸く、ちょうど人間の頭くらいの大きさだった。
袋の縫い目の間から、何かが出ている。
髪の毛だ。
『開けるわよ』
袋の口に手を入れて、中身を取りだす。
「なんだよ、これ…」
若武くんの気のぬけたような声があがり、続いて笑い声が響いた。
「おい、若武先生、顔が赤いぜ」
「上杉、おまえも充分、赤い」
何せ私が手にしているのは、女性物の、レースの下着。
スリップと、ショーツと、それにブラジャーもあった。
それを汚れないようバッグかけ、さらに手を入れると縫い目からも出ていた髪が出てきた。
カールのかかった赤みがかった茶色の長い髪。
立花さんが悲鳴を上げる。
「埋めたわけがわかったぞ。髪が浮き上がって、袋の繊維の間や、バッグのファスナーの縫い目から外に出て、浮かんでくることを恐れたんだ」
小塚くんが、ふっと言った。
「それ、ミシアの髪じゃない?」
その通りだ。
「じゃ、その下着も、ミシアのか」
若武くんに言われて、再び下着を手に取り、鼻を近づける。
…バニラの香り。
『間違いないわ。ミシアのよ』
私がそう言うと、小塚くんが袋の底に残っていた物を指さした。
「服もあるよ」
みんなは、顔を見合わせた。
この子たちは、残ったミシア本人を見つけられるかしら。
「おい、ここ、燃えた跡があるぞ」
服のはしの方がこげていて、下着も、繊維の一部が溶けていた。
「つまり最初は、服を燃やそうとしたんだ。ところが、それができなくなって、隠すことにしたってところかな」
上杉が言い、若武くんが続けた。
「燃やせなくなったのは、その時、オレたちがあの城に到着したからだ。ミシアが逃げてから、そんなに時間を置かずにオレたちはあそこに入ったんだからな」
「で、ミシアは、どうなったの?」
若武くんと上杉は、大きな息をついた。
「わかんね」
「オレも」
小塚くんが言った。
「とりあえず帰ろう。桜田にも頼まれてるし、ボクも気になるとがあるんだ」
浮き島から戻り、城へ向かう。
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mio - 返信ありがとうございます!あまり無理をしないでガンバってください!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - mioさん» コメントありがとうございます!更新はもうしばしお待ちください。お話は出来てるのですが、打つのが中々…。それでも、皆さんに少しでも早くお届けするため、がんばっております。これからもよろしくお願いします! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 忍大好きマンNさん» コメントありがとうございます!皆様の応援を糧に、精一杯がんばっていきます。これからも読んでいってください。 (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。そこまで言っていただき、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね♪ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年2月21日 13時