その2上杉side ページ21
Aも加減はしていたらしく、多少苦戦はしたものの無事当てることができ、残るは黒木のみとなっている。
オレは座った状態で、ふたりのやり取りをながめている。
何でこんなことに…アンサーは黒木の悪ノリだな。
「黒木、楽しそうだな」
両手に恵方巻きを持った若武が、オレのとなりに座る。
「でも、このままだとあいつ、昼メシ無いんじゃねえの?」
「そうだろうけど、当てたくないってのは多分本心だろうから、止めにくいんだよ」
若武は、恵方巻きの一本にかぶりつき、飲みこんでから笑った。
「でも黒木、何かいい感じに変わったよな。やっぱ、彼女できると違うのかな。くっそ、オレも彼女欲しい」
後半はどうでもいいが、たしかにその通りだ。
最近の黒木は、心からの笑顔が増えたし、中学生っぽいノリをすることが出てきた。
あいつの影響が大きいだろうな。
ふたりの寸劇はいまだに続いているが、恵方巻きも無くなるし、そろそろAがストップをかけるだろう。
『もういいわよっ!とにかくご飯食べてらっしゃい!』
そんな叫び声とともに、Aは両腕を縛っていたロープを引きちぎり、黒木をオレたちの方に放り投げた。
他のメンバーと違い、この光景に驚かなくなってるオレと若武は、変な方向に変わっていってるのだろう。
若武が食べてないほうの恵方巻きを渡しながら、形だけの声をかける。
「黒木ー、大丈夫か」
「まあね。とにかく、豆を当てることは回避できたから、オレ的には満足かな」
冗談っぽく言っているが、多分本気だ。
オレの反対隣に、Aがしゃがむ。
『せっかく企画したのに、こんなオチになるとは思わなかったわ』
「おまえがしたのかよ」
『そうよ。勉強にサッカーに、って大変なあなたたちに、息抜きの代わりにね』
「まあ、最後まで止めなかったあたり、おまえも楽しんでたろ」
Aはふっと笑って、後ろに倒れこんだ。
『仕方ないじゃない。あんな体験したこと無いし、これからさせる気も無いし。ある意味、貴重なんじゃない?』
「違いない」
もし本当にあんな状態になったら、こいつは間違いなく自分だけでどうにかしようとするだろう。
黒木は恋人として、オレは相棒としてそんな事させないけどな。
この後、メンバー総出で豆掃除させられた。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» リクエスト更新致しました!これからもぜひ、お気軽にリクエストしてください。ありがとうございました! (2020年6月23日 6時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 早っ(笑) 了解です。ありがとう (2020年6月22日 21時) (レス) id: 724d0f98c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» 了解しました!おそらくどちらも続編の方で更新となるので、連絡致しましたらそちらへ飛んでください。リクエストありがとうございました! (2020年6月22日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 忙しい所すみまん。もう1つリクエストさせていただきます。優先順位はきょっちーさんの好きな方で宜しいのですが、清香ちゃんがぶりっこになって黒木君やkz メンバーを驚かせる、というのです。理由やきっかけはお任せします。すみません、宜しくお願い致します。 (2020年6月22日 21時) (レス) id: 724d0f98c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» 了解しました!清香ちゃんのあることから、もしかしたら想像とは違ってしまうかもしれませんが、精一杯書かせていただきます! (2020年6月22日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年12月9日 14時