288話 ページ42
「若武は何も言わないけどさ、KZの事務所、若武のとこの書斎だろ。僕達が使っている間の電気代とか水道料金とかは若武んちで払ってるんだ。いつも食べさせてもらっているおやつもだよ。この先もずっと負担してもらうのは悪いだろ。僕達がKZとして活動していきたかったら、早く自立してその分を返さないと一人前だって言えないよ。だからリサーチ料金は必要なんだ。KZとして活動を続けるためにね」
『そしてもっと大きな仕事をするようになったら、必要経費ってものが出てくるわ。つまり調査するのにかかるお金のことね。尾行するのに電車に乗ったりタクシーに乗ったりするでしょう。あるいは変装したりするかもしれない。今までそういったことはみんな個人の負担でやってきたけれど、本格的な活動のためにはそれじゃマズいわね』
そんな話をしていると後ろから気配が近づいてくる。
「どうしたの、あなた達。早くいらっしゃい」
玄関を入っていったミシアがもう一度出てきて手招きした。
私は少し警戒しながら皆と一緒に家の中に入った。
「KZの会計係、私がする」
後ろから立花さんが急に声をあげ、皆が驚いたように振り返る。
「何だ突然」
若武君はキョトンとしたけれど、黒木君や上杉と視線を交わし合って少し笑う。
「やってもらえばいいじゃん」
上杉がそう言うと小塚君も頷いた。
「アーヤは丁寧に書くし、こまめだから適任だよ」
黒木君が片手を上げながら言った。
「決を取ろう。アーヤの会計係に賛成の人」
まだキョトンとしている若武君を除いて、私を含めた全員が手をあげる。
「はい、多数決。会計係決まりね」
上杉がさっさと話をまとめた。
「立花、会計ノート作っとけよ」
立花さんはすかさず言った。
「そのノート代はリサーチ料が入ったらもらうから」
皆が驚いたように立花さんを見た。
「え、取るの?」
「ノート代くらい大したことないだろ」
「お金のことはきちんとしたいの。早くリサーチ料金が取れるように頑張ろ」
皆で顔を見合わせ、ゲンナリするといったような表情になった。
「何かこれから凄いことになりそう…」
「アーヤが一番過激だよ、きっと」
「女って一度決心すると徹底してやるもんな」
『0か100か、黒か白か。厳しそうね』
「誰だよ洗脳したの。元に戻せよ」
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時