警察官でした。6 現在修正中

287話 ページ41

「送ってくれてどうもありがとう。ちょうどお昼だから食べていってちょうだい」

若武君が珍しく冷静に言った。

「食事の間に俺達に事件の調査を依頼する気になってくれるといいんだけど。皆で売りこもうぜ。依頼料も決めよう」

「困っている人を助けるだけでいいじゃない。お金のことなんか考えるのやめようよ」

そう言った立花さんを、若武君はバカにするように笑った。

「ガキの遊びじゃないんだ。本格的な探偵なんだぜ。料金を取るのは当たり前じゃん」

立花さんが若武を睨む。

「お金のためにやってるんじゃないもん」

「おい、金って言うなよ。報酬と言え」

「言菓だけ綺麗にしてもダメ」

睨み合う立花さんと若武君の間に、上杉と黒木君が入った。

「あのさ今の日本は資本主義経済なんだ。金が全ての基本」

そう言うのは上杉だ。

「凄くメンタルなことでも金に換算するのが資本主義経済の原則。たとえば交通事故なんかでもあるいは自然災害でも、最後は金の受け渡しによって解決することになっている。金の問題をヌキにして成り立っているのは、ガキの遊びの世界だけだよ。立花はKZを子どもの遊びにしておきたいのか」

黒木君がその後を続けた。

「愛情とかでもだよ。
たとえばアーヤに好きなお菓子があるだろ。
でもいくら好きでも心で大事に思っているだけでは、お菓子は売れない。
売れないとお菓子屋さんは潰れてしまう。
もうお菓子を作れなくなる。
好きなお菓子があったら金を払って買うことで、好きだという気持ちを表さないと、そのお菓子はこの世からなくなってしまうんだ。
売られているものはなんでもそうだよ。
好きなものがあったら、それに金を払うことで愛情を証明する。
それが資本主義経済のルールだ。
俺達はそういう世界に住んでいるんだよ。
金のことをきちんと考えていかないと、いつまでたっても子どものユートピアからぬけ出られない」

『才能にもお金を払う価値があるわ。ノーベル賞でも賞金が出るでしょう。あなた達の才能もまた、お金をもらうのに相応しいものよ』

小塚君も言った。

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