286話 ページ40
「病気のせいで心臓発作を起こしても、列車から突きおとされたショックで心臓発作を起こしても、どっちも死.因は心臓発作ってことになるからな」
これが事故ではなく事件だとしたら。
カナールだけでなくミシアも怪しい。
むしろ私の中での本命は…。
「死.んだラングの服のポケットから、私を養女にするっていう書類が見つかったの」
ミシアは溜息をつきながら言った。
「ラングは前から、お前みたいな子どもがいたらなぁって言っていたから、私養女になってあげてもいいわよって言って、役所に出す書類にサインしたことがあったのよ。
でもずっと前のことですっかり忘れてたの。
ラングも迷っていたんだと思うわ。
見つかった書類の日付は事故前日。
それはコピーで、オリジナルの方は弁護士がすでに役所に提出していたの。
事故の日、ラングはそれを私に伝えるつもりで記念の食事に誘ったんだと思う。
カナールはすっかり当てがはずれたような顔をしていたわ。
私、カナールが遺産目当てに突き落としたんじゃないかって疑っている。
だって養女のことは知らなかったんだから、ラングが死.ねば財産は自分のものだと思っていたはずだもの。
ラングを始末しても遺産が手に入らなかったものだから、今度は私を狙ってるんだわ。
私がいなくなれば全部カナールのものだもの」
そう言ってミシアは両手で顔を覆った。
「恐いわ」
隣に座っていた黒木君が腕を伸ばして、宥めるようにその背中を叩いた。
「脅されていることは警察に届けたんですか」
ミシアは顔を上げ首を横に振った。
「いいえ、これまではそういう気配がしていただけだから届けにくくって。でも今日はっきりしたから家に着いたらすぐ届けるつもり」
やがて車は館の門に到着した。
それは大きな鉄柵門で、電動で開くようになっていた。
そこを通って5〜6分走り、ようやく館の玄関に着いた。
車から降りた若武君が見回して言った。
「へぇ、金ありそ」
立花さんが若武君を振り返って言った。
「そういう発言止めなさいよね。品性疑われるから」
しかし確かにそれなりの額の遺産になりそうだ。
出来るならその遺産がミシアの手に渡ることを阻止したいが…。
「おかえりなさいませ」
男性と女性の使用人がミシアを出迎えた。
「お客様ですか」
聞かれてミシアは頷き私達を振り返った。
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時