273話 ページ27
「KZリサーチ事務所のこの夏のテーマは、オーベルニュでの大活躍だ」
それはフランスの地図だった。
「俺達が親善試合をしたり宿泊したりする寄宿学校はオーベルニュにある。ここだ」
若武君が指さしたのは、パリからフランスの中央部を越えて真っすぐ南に下がった山の中の街。
「オーベルニュ地方のサンフルール市。このあたりは、中央高地と呼ばれる山岳地帯で、日本でいうと長野県みたいなところらしい」
長野には別荘がある。
母さんの喘息がひどかった時期、空気が綺麗なそこに家族で住んでいたのだ。
「オーベルニュなら山岳は山岳でも火山地帯だよ」
小塚くんが嬉しそうに言った。
「この辺り一帯にあらゆる時代の火山がそろっていて、[火山形態の博物館]って呼ばれているんだ。今は皆休火山になってるけど溶岩の流出や爆発でできた湖もたくさんある。一度見てみたいと思ってたんだ。楽しみだな」
シャリの小塚だから地学にも詳しいのね。
「若武さぁ、大活躍って言ってるけど具体的にはどうするの」
黒木君が聞くと、若武君は少し困ったように眉根を寄せた。
「そこまでは考えてないけど」
『最初の日は移動日で、その後3日間はサッカーでしょう。で、残りの3日が自由行動だから、その間に事件を探すのよね』
上杉が溜息をつく。
「で3日の間に解決すんだろ。できるのかよ」
ムリね。
事件に遭遇するかもわからないのに。
「とにかく目標は探偵チームKZの飛躍だ」
若武君は強引に言いきった。
「この機会に誰もがあっと驚くような大活躍をして、世界的に認められるんだ」
私達は顔を見合わせた。
「アーヤ」
若武君は突然立花さんの名前を呼んだ。
「今回はお前が頼りだ。頑張ってくれ」
立花さんは訳がわからないという顔になった。
「何て顔してるんだ。向こうじゃ何もかもフランス語なんだぞ。言葉に関してはお前の担当だろう。事件探し、解決、すべてにおいてフランス語が必要だ。通訳はお前の役目だ。しっかりやれよ」
立花さんは驚き慌てたように言う。
「ムリだよ」
若武君は立花さんを見つめながら言った。
「KZのリサーチ事務所には俺達しかいないんだ。お前が通訳をやらなかったら、代わりにこの中の誰かがやらなきゃならない。誰がやるんだ。皆それぞれの役割があるだろ。なあ」
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます！次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします！ (2019年12月6日 7時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません！繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます！駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください！ (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます！ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年11月30日 15時
