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272話 ページ26

「それなのにいかにも自信がありそうに言うのが若武らしいんだよね」

黒木君も頷いた。

「まさに詐欺師の才能だ」

若武君は少し口をとがらせる。

「具体的なことは考えてなかったけど自信はあったさ」

上杉がからかうような笑みを浮かべた。

「へぇ。でもそれ、根拠のない自信だろ」

若武君はムッとしたらしく、ソフアに座っていた上杉の前まで詰め寄った。

「いや、根拠はある。つまり自分自身に対する自信だ。きっと俺はいい方法を思いつくはずだ、それだけの頭は持っているはずだっていう自信だよ」

上杉はウエッという顔をした。

「お前のウヌボレ度ってマックスだよな。余所で言うなよ。嫌われるぞ」

小塚君と黒木君、私も笑いだす。

「若武は嫌われないよ」

『いっそ清々しいもの』

「ん。むしろ面白がられるんじゃないかな」

上杉は横を向いた。

「冗談ばっかり言ってる奴と思われて、だろ?本気だなんて誰も思わないよな。詐欺師かお笑い芸人なんだって」

立花さんもつられたように笑った。

若武君は気分を悪くしたようだったけれど、島崎さんがドーナツと私が持ってきたフィナンシェを出してくれ、皆でお茶を飲みながら別の話をしているうちにそれも直り、おやつの途中には平和な空気が戻ってきていた。

そこで黒木君と軽く目を合わせ、口を開く。

『皆に報告したいことがあるんだけど、いい?』

「なんだ」

『私と黒木君の関係、覚えてる?』

「付き合いながら口説かれ中、だよね」

『そう。だけどこの間、正式に付き合うことになったわ』

「やっぱりそうなんだな」

上杉の反応に私も黒木君も少し驚く。

「なに、上杉気づいてたの」

「お前も桜田も何か雰囲気変わってたからな」

上杉の観察力、なかなか侮れないわね。

黒木君を見ると、私しか気づけない程度に照れていた。

おやつが落ち着くと、若武君が用意してあった地図をテーブルの上に広げた。

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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時

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