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262話黒木side ページ16

「やっとできたよ。まさか俺が先にやられるとは思ってなかったけど」

『あの時はああするしかなかったもの』

「他にもあったと思うけど。でもこの部屋から連れ出すって、何だかプリンセスを攫うみたいだね」

『私はお姫様なんて柄じゃないわ』

「俺だけのプリンセス様だよ」

そう言って歩きだすと、腕の中からキザねえという呆れたような声が聞こえた。

しかし上に着いた時にはまた眠ってしまっていた。

「あらちょっと」

玄関の方で小梅さんの大声が上がる。

「あなた誰っ?!まぁ、その人はまだ動かしちゃだめよ。ケガしてるのよ」

「うるせぇ、クソババア」

「いつまでもこんなとこにいられるか」

俺たちは大急ぎで玄関に向かった。

そこでは小梅さんが呆然と突っ立って、逃げるように帰っていく2人を見送っている所だった。

「ちょっとお話があるんですが、小梅さんは床にワックスを塗って、あの男を転ばせて殴りつけましたね」

小梅さんは驚いたように見上げてくる。

責めているわけではないことが分かるよう、優しく微笑む。

「まず携帯電話を取りあげて、外と連絡が取れないようにしてから熱心に看病した。新聞を取るのも忘れるくらい、夢中でね。病人を看病すること、それがあなたの夢だったからです。そこに僕達が入りこんできたので追い払うために、壁に[ガキども、立ちされ!]と書いた紙を貼った。自分の夢を破られたくなかったからですね。そしてケガ人を地下に移して、見つけられないようにした。それでもまた僕達が来たので、今度は自分で玄関に出てうまく誤魔化した。でも僕達はしつこかった。それで小梅さんは今度は僕たちの看病もしようと考えて、ワッフルに細工をしたんです」

俺達はじっと小梅さんを見つめた。

小梅さんは黙っていたが、やがて訴えるように口を開いた。

「だって私には看病をする人が必要なんですよ。ずっと看護師をしていて結婚してからは体の弱かった夫の看病をしてきました。可哀想な人を看護すること、それが私の生きがいなんです。でも夫が死んでしまって、私には看病する人がいなくなった。だからそれを見つけたんです。誰かを看病していないと、自分が生きている感じがしないの。人に尽くしている時だけが幸せなんです。私とても上手なのよ、看病が」

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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時

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