260話黒木side ページ14
その肩に手をのせる。
「聞くは一時の恥、聞かぬは生涯の恥って言葉知ってる？」
聞いていた上杉が改めて説明をする。
「MSBPは、人をわざと病気にしてそれを熱心に看病するっていう一種の性格障害だよ。よく子どもが犠牲になるんだけれど、この障害自体がまだ解明されていなくて、未知の部分が大きいんだ」
「俺達が狙われたのも多分そのせいだね。MSBPの目的は看病することだから、危害を加える時も手加減して死なないようにする。だから若武も助かったんだ、きっと」
桜田の言葉も、きっとこの病気のことを指していたんだろう。
上杉がツカツカとドアに歩みより、こちらを振り返った。
「とにかくここから出ようぜ」
それがいいだろうな。
「先に行っててよ。俺、桜田連れていくから」
「山本、起きられるか。ダメなら俺が背負うけど」
吉野に言われて、山本はベッドから立ち上がった。
「大丈夫だ。お前の顔を見たら何となく元気が出た」
その肩を吉野が支えている。
「さ、行こう」
上杉がドアを大きく開こうとしてはっとしたように動きを止め、それを再び閉めた。
「誰かこっちに来るっ！どうする？」
ドアに飛びつきそこに耳を押し当てて、外の音に集中する。
「足音は1人だ。小塚か、小梅さんか」
上杉は不敵な感じのする笑いを浮かべた。
「小塚なら問題ないけど、小梅さんなら小塚はどうしたって話になるよな」
「時間がない。とりあえずやっつけるってことで、どう？」
上杉は頷きアゴでドアの反対側をさした。
「そっち任せた」
位置につき、上杉がドアの向こうの気配を伺いながらノブを握りしめた。
「カウントダウン開始、3、2、1、0っ！」
ザッとドアが開き、その間から俺が向こうからやってきていた人影に飛びついた。
直後に上杉もその人影の脚にタックルする。
2人に組みつかれて、人影は後ろに倒れた。
その人影は小塚だった。
「ちっ、カラぶりだ」
上杉が跳ね上がるように一気に立ち上がる。
「でもよかったよ。小塚が無事で」
俺もズボンを叩いて立ち、小塚だけがわけがわからないといった様子でその場に転がっていた。
「小梅さんが帰ってきたの？」
アーヤの言葉に小塚は思い出したように身を起こした。
「今、門を入ったとこだよ」
上杉と俺が目を見合わせる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます！次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします！ (2019年12月6日 7時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません！繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます！駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください！ (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます！ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きょっちー | 作成日時：2019年11月30日 15時
