247話黒木side ページ1
その翌日の日曜日、秀明ゼミナールが終わった後で、俺達は待ち合わせて佐藤家に向かうことになっていた。
しかしいつまで経っても桜田が来ない。
若武も変に落ち着かない。
「おい、もう行かねえと」
「あ、ああ。そうだな。桜田は、来られるかどうかわからないって言ってたし、来られないんだな」
そんなこと言ってたか？
若武だけに言ったにしても不自然な気が…。
連絡を取りたかったが皆が行ってしまったので、俺も行くしかなかった。
佐藤家に着くころにはもう夕方になっていた。
「おい、俺がやる」
門についていたドアフォンを押そうとした若武を止めて、上杉が言った。
「名乗る時には開成の名前の方がインパクトを与えられるから」
若武は何も言わずにドアフォンの前を譲ったが、その目には悔しそうな光があった。
「僕は開成中学1年の、上杉和典と言います」
ドアフォンにむかって上杉がそう言うと、返ってきたのは沈黙だった。
こちらを振り返った上杉に、そのまま話すように合図をした。
上杉は頷き、ドアフォンに向き直って話し始める。
「この間伺った6人の中の1人ですが、今日はお話があってきました。5分ほどで済みます。玄関先で結構ですので、お時間をいただけませんか」
やがて小梅さんの声がした。
「お入りなさい」
やったと叫びそうになった若武の口に飛びついてフタをする。
「今日は上品に。いいか、ハイブロウでいくんだ。お子様バージョンを切りかえろ」
ただのお子様より、大人しくしている方が好感度は高い。
油断させるためにも必要なことだ。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか」
あの人には確実に何かある。
皆が足を止めて俺の方を見た。
「黒木、何考えてんだよ」
俺からすれば若武の方が何を考えているのか、だよ。
緑の桜の下を通って、さっさと玄関へと歩く。
すると玄関のドアが中から開いて、小梅さんが顔を出した。
「どうぞ」
この間より随分愛想がいい。
開成の名前が効いたのか、別の目的があるのか。
「失礼します」
そう言って家の中に入った。
皆もそれに続く。
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます！次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします！ (2019年12月6日 7時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません！繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます！駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください！ (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます！ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年11月30日 15時
