24話 ページ48
若武君が皆を見回し、気合を入れるように言った。
「準備は、明日中に終わらせてくれ。明後日の月曜日には、砂原ミートに潜入するんだ」
※※※
そして月曜日。
私たち潜入班は学校を休み、小塚君が作り出したものの講習を受けている。
小塚君は、3つの袋を取り出した。
「これは耐火・防水の布で作ってあって、中に薬品が複数入っている。これらが混ざると発煙し、異臭が出るようにしてあるんだ。この3つを砂原ミートの敷地内に投げ込むんだ。すると、3ヵ所から一斉に煙が上がって、辺りが臭くなる。従業員も警備員も慌てて避難するか、あるいは現場に飛んでくるか、どちらかだ」
「その隙に忍び込んで、ハンバーグを盗ってこればいいんだな」
若武君が興奮したように言う。
黒木君がカバンから1枚の紙を取り出した。
「砂原ミートの見取り図だ。倉庫はここで門がここ」
「これなら、なるべく遠くに投げないといけないな」
きっと今上杉の頭の中は、従業員達がどれくらいのスピードで移動するのか、などのシミュレートでいっぱいだろう。
『ハンバーグを盗る時、一ヵ所からではダメよ。ランダムに、なるべくバラけたものを盗るの。盗ったハンバーグの隣が当たりだった、とか笑えないからね』
そしていざ実行のとき。
私の提案で並び順を決めた。
前は既に地図が頭に入っているという黒木君。
真ん中に全体を見ることが得意な若武君。
後ろは、前後関係なく気配に敏感な私。
潜入ポイントに着いた時私が手鏡を使い、上杉の方向に光を煌めかせた。
あちらからも同じ合図が返ってくる。
前の二人と目を合わせ、軽く頷き合う。
その3秒後、砂原ミートの敷地内から煙が出始めた。
従業員たちも慌ただしく動き始める。
その隙に上手く死角を使いながら、ひたすらに走っていく。
今のところ、周りに人の気配はない。
そして倉庫に到着。
予定では二ヶ所ある出入り口をそれぞれ、私と黒木君で固め、若武君が盗ることになっていた。
しかし荷物が思ったより高く積み上げられていたため、黒木君と若武君をポジションチェンジ。
あともう少し、というところで私の方から警備員がやって来てしまった。
「桜田っ!」
後ろから黒木君の声が聞こえるが、構わず警備員に向かって走り、タックルでバランスを崩させた後、手刀で意識を奪う。
『大丈夫よっ!サンプルは?!』
「取れた!」
「早く行くぞっ!思ったより手間取った!」
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます!しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします! (2020年8月14日 22時) (レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます!夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします! (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年8月29日 18時