21話 ページ45
中に一人日本人がいる。
若武君にそっくりで目立つポーズをしていた。
「テキサス大学オースティン校だよ。そいでロースクールがハーバード」
黒木君がヒュッと口笛を吹いた。
「すげ。パブリック・アイビーとアイビーリーグの代表校じゃん。どっちも超名門。去年の世界大学ランキングでも上位だったし、フットボールも強いんだよな」
上杉がニヤッと笑う。
「それなのになんで若武みたいなのが生まれたんだ？」
小塚君が真面目な顔で答える。
「それは突然変異だよ、やっぱり」
若武君は、髪を掻き上げながら、歩いて机の前に置かれていた肘かけ椅子に深く腰を下ろした。
そしてそれをクルッと回転させ、こちらに向き直った。
両腕を肘かけに置いて、手でその端を掴み背もたれに体を預け、脚を高く組む。
「さて諸君、リサーチ会議を始めよう」
立花さんはサイドバッグからノートを出し、テーブルに近づいた。
すると黒木君が、若武君の座っている机に目をやって言った。
「若武、その机記録係に譲れよ」
若武君は、とんでもないといったように目を見開き、机に向き直って両手で抱え込んだ。
「これは、リーダーのものだ」
「机は、カッコつけのためにあるんじゃない。ものを書くためにあるんだ。俺の意見に賛成する者は挙手を」
上杉と小塚君、私もサッと手を上げた。
黒木君は自分も手を上げながら、若武君を見た。
「4対1、一人棄権だ。退けよ」
若武君は悔しそうに舌打ちしたが、それでも立ち上がり机を明け渡し、テーブルの方に歩いてきた。
体を投げだすようにソファに座ると、皆を睨み回す。
「ちきしょう」
上杉が慰めるように肩を抱いた。
黒木君が笑って、目で立花さんを促す。
「どうぞ、記録係さん」
立花さんはちらっと若武君の顔色を伺った。
「いいから行けよ」
不貞腐れた顔で、若武君が立花さんに目を向けた。
「ここは父の書斎で、この中ではアメリカ流民主主義に従わなけりゃならない決まりなんだ。今父はいないけど、その習慣は守るよ。行け」
黒木君と上杉と顔を見合わせ、私達は声を合わせた。
『「オブ・ザ・ピーポー、バイ・ザ・ピーボー、フォア・ザ・ピーポー (人民の、人民による、人民のための)」』
立花さんはキョトンとしていたけれど、小塚君がニコニコしながら机に目をやったからか、その机についた。
立花さんが、ノートを広げる。
「準備オーケ」
すると若武君が立ち上がり、出窓の方へと歩きながら腕を組んだ。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます！しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします！ (2020年8月14日 22時) (
レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます！夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします！ (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年8月29日 18時
