15話 ページ39
パジャマの上をスッポリと脱ぎ叩きつけるようにベッドヘッドにかけると、斜めに立花さんや私を見る。
「もう砂原と話したのか。そうなんだろ」
皆が私たちを見る。
立花さんは責められているように感じたのだろうか。
「だって、隣の席なんだもの」
焦ったように言い、それに対し皆は参ったといったような溜息をついた。
「マジか、よ」
「災難だな」
「可哀想」
『私はもう彼と友人よ。スマホの番号だって交換しているわ』
若武君は、やっぱりというような顔つきになる。
「お前らに言ってわからなけりゃ、向こうに言うまでだ」
そのまま部屋を飛び出していきそうになった。
黒木君が慌てて腕を伸ばして抱き止める。
「半分パジャマだぞ。上は裸だし」
若武君はうるさそうにその腕を振り払った。
「砂原に言ってやる、近づくなって」
「落ちつけよ」
そう言ったのは上杉だった。
「いくらお前が言ったってダメだよ。本人がその気にならなくっちゃ。」
眼鏡の向こうの鋭い目をこちらに向ける。
「お前らは知らないだろうけど、砂原は突然キレるんで有名なんだぜ。それで去年、中学生を3人病院送りにして警察沙汰になったんだ。家裁に送られて保護観察になったんだけど、KZも秀明も止めることになったってわけ」
「とにかく」
立花さんは言いながら立ち上がり、4人を見回した。
「私のことは放っておいて。 若武だって勝手にデートの約束してたくせに、私のことだけ口出しするなんて可笑しいじゃない」
若武君は大きな声でわめいた。
「俺の相手は砂原みたいなヤンキーじゃないんだ。一緒にするな」
立花さんも負けじと叫んだ。
「私だって一緒にされたくない。理由も聞かずに簡単に男をフるような軽い女と、私のクラスメートを」
立花さんと若武君は、もの凄い勢いで睨み合い、その間に黒木くんが入って止めた。
「二人共熱くなりすぎだよ」
若武君は仕方なさそう溜息をついて横を向いた。
立花さんはノートを畳みながら言った。
「私帰るから。もう二度と来ないし」
皆は唖然とした顔で立花さんを見た。
しかし立花さんはそのまま出ていってしまった。
「アーヤ、待ってよ」
小塚君が言うが、それに押し被せるように上杉が言った。
「ほっとけよ。女のヒステリーだ」
若武君はガシガシと頭を掻いて、私に顔を向けた。
「で、お前はどうするんだ」
私は小さく息をついて落ちついて答えた。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます!しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします! (2020年8月14日 22時) (レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます!夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします! (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年8月29日 18時